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精機製品・技術レポート:NSKリニアガイドの耐衝撃性

1. オフセットゴシックアーク溝とその特長

転がり案内の特性は、そのボール溝形状によって大きく支配される。ボール溝形状には、図1に示すような単一円弧状のサーキュラーアーク溝と、2つの円弧を組み合わせたゴシックアーク溝とがある。ゴシックアーク溝は、図2のようにレールとベアリングの溝中心を一致させれば、玉が溝と4点で接触する。いわゆる4点接触となり、図3のように溝中心をオフセットさせれば2点接触にすることができ、これをオフセットゴシックアーク溝と呼んでいる。

図1:サーキュラーアーク溝&図2:ゴシックアーク溝&図3:オフセットゴシックアーク

2. 耐衝撃性

転がり要素に共通の欠点の一つとして、衝撃荷重のような超高荷重が作用した場合の負荷容量の不足が挙げられる。図5に示すように、ゴシックアーク溝は、超高荷重が作用した場合には、通常は接触していない溝が新たに荷重を負荷するので、大きな耐衝撃性を持たせることが出来る。

図5:ゴシック、サーキュラー溝の負荷状態

図6は、LH45ANとゴシックアークを持たない相当型番のガイドに、ベアリング上面から静荷重を加え、発生した圧痕深さを測定・比較したものである。理論的に計算されるとおりLH45ANの方が、圧痕深さが1/2以下となっている。
図7には、LH45ANの基本静定格荷重を加えた時の圧痕の生データを示す。
このように、ゴシックアーク溝の効果が明らかに認められている。

図6:荷重と圧痕深さ&図7:静定格荷重を加えた時の圧痕状況