人権尊重

基本的な考え方

NSKは、人権の尊重はグローバル企業としての責務であり、「世界人権宣言」や「ビジネスと人権に関する指導原則」といった国際規範を支持・尊重することが不可欠であると考えます。

「NSK企業倫理規則」において、いかなる事由による差別や人権侵害(強制労働、児童労働など)も行わないことを明確にしています。さらに、当社の人権に関する考え方をより明確にした上で取り組みを推進すべく、2022年10月に「NSK人権方針」を策定しました。NSKは本方針に従い、国際規範に則り、NSKのステークホルダーの人権を尊重するとともに、サプライヤーの皆様と連携し、人権に及ぼす影響を評価し、予防・軽減していくことに努めています。

NSK人権方針

体制

当社グループの人権尊重の取り組み推進責任者は、人事総務本部長(兼)法務コンプライアンス本部担当の執行役であり(2024年9月現在)、NSKグループ全体の人権リスクマネジメント強化を担っています。また、人事総務、調達、生産、品質保証、法務コンプライアンスなど各機能本部が、グローバルに連携しながらNSKグループならびにサプライヤーの皆様と共に、人権デュー・デリジェンスの推進に取り組んでいます。
人権推進責任部署である人事総務本部は、海外地域本部と連携し地域課題の共有と対応策の議論を行うとともに、グローバル全従業員の人権教育を推進しています。さらに、グループ全体の情報共有を行う場としてNSK人権会議を定期的に開催し、本会議で議論された重要な事項や人権デュー・デリジェンスの取り組み進捗について、コアバリュー委員会に報告しています。

人権尊重の推進体制(2023年時点)

人権デュー・デリジェンスの取り組み

NSKグループは、2021年度に、NSKの規範やガイドラインに明記されている人権課題、法務省、NGOや調査会社、主要客先CSRガイドラインなどからの情報や指摘事項を参考に、NSKにとっての重要な人権リスクを洗い出しました。2022年度には、外部専門家によるヒアリングを国内機能本部・海外地域本部と計14回実施し、関連業界における人権リスクの顕在化事例や国際的なイニシアティブによる企業の取り組み評価項目を踏まえて、NSKの重要な人権リスクの特定、重要度評価(発生可能性×深刻度)を実施しました。

NSKグループ従業員への人権教育に関しては、2023年度に国内、海外の従業員向けeラーニングを実施し、約12,000人が受講しました。加えて、国内では各階層・対象別(新入社員、管理職、営業社員、海外赴任者向け)の研修を実施し、約900人が受講しています。

人権デュー・デリジェンスの取り組みは、サプライヤーの皆様と共に推進しており、2023年度にはNSKの人権方針や取り組みに関する動画を国内200社超のサプライヤーの皆様に配信し、海外サプライヤーには、人事、労務、安全衛生、環境などに関する自主点検を実施し、調査の結果を各社にフィードバックしました。

ステークホルダーのエンゲージメント
《取り組み課題/軽減措置》
◆人権と労働

2023年度は、国内グループ会社13社、海外15カ国39工場/法人に、自主点検調査を実施しました。
人権リスクの対象とした課題は、雇用における差別、児童労働、強制労働、労働条件、労働安全衛生などです。

(確認内容の具体例)

雇用における差別

  • 人種、民族、性別、言語、宗教、その他の意見、国籍または社会的出身、財産、出生、その他の地位に基づく従業員の雇用・処遇における差別を防止するための明確な方針・システムを
    有している。
  • ハラスメント相談窓口や苦情処理窓口の設置を行っている。従業員にハラスメントの認識/研修プログラムを提供し、制度を定期的に見直している。

児童労働

  • 児童労働やその他の人権侵害を行っていない、また防止する方針・システムを有している。

強制労働

  • 強制労働やその他の人権侵害を行っていない、また防止する方針・システムを有している。

労働条件

  • 各国の法制度に則った労働時間管理(時間外労働時間の上限など)、適切な賃金(最低賃金など)の支払いを行っている、定期的に確認、見直しをしている。

労働安全衛生

  • 職場における安全衛生プログラムと方針を最優先し、物理的措置と教育研修の両面から事故と負傷の防止に努めている。
◆従業員との対話・協議

NSKは、モノづくりの企業として持続的に成長していくには、雇用を長期的な視点で捉え、優れた人材を生産や販売、開発などの事業所が所在する国や地域で継続的に採用し、育成していくことが重要と考えています。

NSKグループは、国際規範や現地の法律に則って適切に従業員を雇用するとともに、労使の健全な関係が不可欠と考え、従業員が報復、脅迫や嫌がらせをおそれず、経営層と直接コミュニケーションできる権利(労使の対話)を保障しています。さらに、従業員一人ひとりがやりがいを感じ、成長できる職場環境を整えていくことが重要と考え、従業員のエンゲージメントやコンプライアンス意識の浸透度を測ることを目的とした従業員意識調査を実施し、明らかになった課題への対策を実施しています。

◆多様な人材が能力を発揮できる職場づくり

NSKは、企業倫理規則に「差別の禁止と健全な職場環境の整備」を定めており、「個人を尊重し、人種、身体的な特徴、信条、性別、社会的身分、門地、民族、国籍、年齢、婚姻、障害などに基づく不当な差別をしない、また、受け手が不快と感じるような行為をしない」ことを行動指針としています。具体的な取り組み事例として、LGBTQに関する性自認や性的指向を尊重し、差別やハラスメントを防止するための、従業員向けセミナーや相談窓口の設置を推進しています。

見えにくい多様性への対応(関連ページ)

安全・安心・快適な職場づくり(関連ページ)

◆法令遵守・企業倫理

NSKは、企業倫理規則に「差別の禁止と健全な職場環境の整備」「労働における基本的権利の尊重」を定めるとともに、遵守すべき事項を解説した「NSKコンプライアンスガイドブック」を各国の言語で発行し、役員・従業員に配布しています。また、定期的に社内研修などを実施し理解を促しています。

コンプライアンスガイドブック

法令遵守・企業倫理
◆サプライチェーンの管理

NSKは、「NSKサプライヤーCSRガイドライン」に人権や労働に関して遵守すべき事項を含め、サプライヤーの皆様に配布し取り組みを要請しています。本ガイドラインでは、NSKグループと直接の取引関係にあるサプライヤーの皆様に自社の取り組みを求めるとともに、人権などに配慮した調達活動を進めていただくことで、さらに上流のサプライヤーの皆様に取り組みを進展させていくことを目指しています。また、定期的にCSR取組度調査(自主点検)を実施し、明らかになった課題を皆様にフィードバックすることで、活動のレベルアップに役立ててもらえるようにしています。

サプライチェーンマネジメント(関連ページ)

◆労働安全衛生

NSKは、「安全」をコアバリューの一つと位置づけ、安全理念・安全方針の下、モノづくりを支える職場の安全衛生活動を積極的に推進し、従業員が、安全・安心・働きやすい職場づくりに取り組んでいます。

安全マネジメント(関連ページ)

◆品質

NSKは、「品質」をコアバリューの一つと位置づけ、製品やサービス、提供する情報を含め、世界中のお客様に喜ばれるモノづくりを目指しています。「設計品質」、「製造品質」、「サプライヤー品質」、最終的に「市場品質」を高めるため、品質保証本部長を委員長とする「品質協議会」を設置し、グループ全体の品質マネジメントを統括しています。

品質マネジメント(関連ページ)

◆環境

NSKは、企業理念に定める「地球環境の保全をめざす」ことを、全ての事業活動に反映させるため、1997年にNSK環境方針を策定し、環境負荷低減に貢献する製品やサービスの開発に取り組むとともに、バリューチェーン全体の環境負荷低減に向けた事業運営を推進しています。また、NSK環境行動指針では、役員・従業員が取り組むべき事項を7つの行動指針に定め、環境コンプライアンス、地球温暖化・気候変動対策、省資源・リサイクル対策、環境貢献型製品の開発・普及、生物多様性保全、環境負荷物質対策、環境コミュニケーションの推進に取り組んでいます。

環境マネジメント(関連ページ)

気候変動対策(関連ページ)

省資源・リサイクル対策(関連ページ)

生物多様性保全(関連ページ)

環境負荷物質対策(関連ページ)

◆紛争鉱物規制への対応

NSKは、コンゴ民主共和国とその周辺国において、人権侵害を行う反社会的武装勢力への資金や利益供与につながる紛争鉱物※1を製品に使用しないことを方針としています。また、調査により使用が懸念される場合は、該当する部品や原材料等の使用回避に向けた施策を行うこととしています。

自動車の電動パワーステアリングに使われる電子部品など、一部のNSK製品に米国紛争鉱物規制※2が調査対象とするスズ、タンタルなどを使用しています。そのため、NSKは該当する部品や原材料のサプライヤーの皆様と共同で、毎年、サプライチェーンをさかのぼって原産国や精錬所を調べるなど、紛争鉱物に関する調査を行っています。なお、2023年度までに実施した調査の結果、武装勢力の資金源となるような紛争鉱物の使用は確認されていません。

※1 コンゴ民主共和国及び周辺国から産出される4種類の鉱物(タンタル、スズ、タングステン、金)で、同地域の武装勢力の活動資金源となっているもの
※2 米国上場企業する企業に、毎年、紛争鉱物の使用状況を調べ報告や情報開示を義務付ける規制。NSKは、本規制が対象とする米国上場企業ではないが、調査を実施し顧客への情報提供等を行っている

◆奴隷制度と人身売買に関する声明について

NSKグループは「NSK企業倫理規則」「NSK人権方針」「NSKサプライヤーCSRガイドライン」に基づき、イギリスにある連結子会社NSK Europe Ltd.およびその英国子会社・関連会社(NSK Europeグループ)にて現代奴隷制度および人身取引に関する声明を公開しています。

Modern Slavery Statement | NSK Europe

◆内部通報制度・相談窓口の整備

NSKは、違法行為や不正行為を早期に把握し是正することを目指し、従業員や役員が違法行為や不正のおそれのある行為を発見した場合は、社内または社外の内部通報窓口に通報することを求めています。なお、通報者は匿名で通報することができ、そのことで不利益を被ることがないようにしています。関係する法令やNSK企業倫理規則に反する行為があった場合は、社内規定に基づき懲戒処分の対象となります。さらに、毎年全ての事業所を対象に実施するリスク評価に、法令やNSK企業倫理規則に反する行為に関するリスクや、労働安全、サプライチェーンに関するリスクなどの項目を含めています。評価の結果、重要性が高いと判断された項目については、リスクを軽減するための措置を講じています。

コンプライアンス(関連ページ)