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精機製品・技術レポート:高精度エアスライド

エアスライドは、静圧空気軸受を用いた直線案内で、スライド面の摩擦が極めて小さく、スティックスリップがない。そのため作動が非常にスムーズであり、高い真直度と位置決め精度が得られ、速度むらも少ない。また、発塵が少ないのでクリーンルームで使用される場合にも適している。
このような優れた特性から、従来の転がり案内では達成が困難な精度を必要とする各種の精密測定機器、あるいは、ますます高密度化、高精度化が進む半導体及び情報機器の製造装置、検査装置などに、エアスライドが使用される場合が多い。NSKでは、こうした要望に対応してエアスライドを開発し、製品化してきた。
NSK標準形のエアスライドは、案内レールの支持方式が異なる2種類がある(図1)。A形はレール両端支持方式の最もシンプルな構造で軽荷重用に適している(図2)。B形は案内レールが全面支持されているので、負荷によるレールのたわみがなく重荷重用に適している(図3)。NSKエアスライドの特長を次に示す。

  • 1) 軸受には多孔質絞りを採用し、高剛性でエアの流量が少ない。
  • 2) 案内レールとスライドテーブルの材質は、共にセラミックスを使用し、軽量でレールのたわみが少ない。
  • 3) 駆動モータ付きエアスライドユニットも製作している。
図1:標準形エアスライドの構造と支持形式&図2:A形エアスライド&図3:B形エアスライド

エアスライドの駆動方式としては、ボールねじとモータ、リニアモータ及びワイヤ又はベルトがある。ボールねじによる駆動は、簡便な方法として最も多く使用されているが、取付け方によっては運動精度に大きな影響があるので、ナットとスライドテーブルの結合には工夫を要する。図4はA形エアスライドの無負荷時の真直度で、駆動による影響を避けるためワイヤで駆動した結果、高い精度を得られた。
エアスライドの高い精度を発揮させるには、駆動機構や制御方法も使用条件に適した方法で、直線案内装置として設計・製作する必要がある。

図4:エアスライド真直度測定例