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生物多様性の保全

基本的な考え方

NSKグループは、ネイチャーポジティブ※1に貢献するため、「NSK生物多様性ガイドライン※2」に生物多様性の保全に向けた基本方針、行動指針を定め、事業活動が生物多様性に与える影響を把握し、ネガティブな影響の抑制とポジティブな影響の促進を図ります。ネイチャーポジティブの実現に資する多面的な取り組みを通じて、生物多様性への貢献を図っています。

NSKグループの主要製品は、鉄スクラップを再生して作られた特殊鋼を主な原材料として生産され、お客様での使用後は鉄スクラップとして、製鋼原料になります。そのため、直接操業における生物多様性への依存・影響は相対的には限定されているものと考えています。原材料調達、水利用、土地利用、廃棄物、地域生態系との関わりを含め、バリューチェーン全体で、幅広い活動が生物多様性に関わりがあることを認識し、調達・生産活動における森林破壊※3防止への取り組みを含め、影響の最小化、貢献の拡大を通して生物多様性ノーネットロス※4に向けた取り組みを進めています。

あわせて、生物多様性に配慮が必要な地域との関わりについては、評価ツール等を活用してリスク低減に努めており、生物多様性への影響を極力抑えるため、敷地内での保全活動等も継続しています。

NSKは、「経団連生物多様性宣言・行動指針※5」に賛同し、「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」に参画しています。また、2025年2月、環境省が推進する「30by30アライアンス※6」および国際的枠組みであるTNFD※7の活動を支援する「TNFDフォーラム※8」に加盟しました。NSKは、これらへの参画・加盟を通じて、事業活動が自然に与える負荷や自然の損失によるリスクの検討を行い、それらの適切な情報開示に努めます。また、ステークホルダーとも連携しながらバリューチェーン全体で自然資本や生物多様性の保全への取り組みを通じて、国際的な目標である30by30、さらにはネイチャーポジティブへの貢献に向けた取り組みを推進します。

30by30
TNFD

※1  ネイチャーポジティブ:自然を回復軌道に乗せ、生物多様性の損失を止め、反転させることを指す。
※2  NSK生物多様性ガイドライン:2010年8月の地球環境保全委員会で関係役員の審議を経て、2010年10月5日に取締役 代表執行役社長の承認により制定。
※3  森林破壊:自然林から森林以外の土地や植林地への転換もしくは継続的な劣化による自然林の消失を意味する。
※4  ノーネットロス:人間活動に起因する生物多様性の減少について、損失を埋め合わせるだけの代償措置を設け、正味の損失をなくすことである。
※5  経団連生物多様性宣言・行動指針:経団連・経団連自然保護協議会が、2030年ネイチャーポジティブに向けた企業の役割と行動指針を示したもの。
※6  30by30アライアンス:2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として保全するという国際的な目標の達成に向け、環境省が推進する官民連携の枠組み
※7  TNFD:自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)。自然資本及び生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価し、開示するための枠組みを構築する国際的組織
※8  TNFDフォーラム:TNFDに関する最新情報を共有し、情報開示枠組みの構築に向けた支援組織

◆NSK生物多様性ガイドライン
基本方針

NSKグループは、生物多様性の重要性を認識し、事業活動との関わりを把握します。
取り組みの推進体制を整備し、生物多様性を保全する活動により、影響の低減を図ります。

制定2010年10月5日

行動指針
  1. 研究開発
    省エネルギー、省資源に貢献できる製品を開発し、生物多様性の保全に貢献します。
  2. 調達、購入
    主資材、副資材、梱包包装資材の調達において、サプライチェーンを通じて、生物多様性の保全に取り組みます。環境配慮型製品の購入を促進し、生物多様性の保全に配慮します。
  3. 製造、物流
    エネルギーや資源の消費、環境負荷物質の排出を低減し、生物多様性への影響を削減します。
  4. 工場、事業場の敷地
    事業場の用地取得や緑化活動において、生態系の保全に配慮します。
  5. 社会貢献活動
    国際社会の一員として活動を推進し、公的機関や民間団体などとの連携を大切にします。
  6. コミュニケーション
    生物多様性に関する取り組みを社内外に積極的に情報開示します。従業員の生物多様性への理解と認識を高め、取り組みの質と効率を向上させます。

制定 2010年10月5日

目標と実績

◆中期計画2026(MTP2026)目標と各年度の目標・実績
MTP2026 2025年度 目標2025年度 実績
事業活動が生物多様性に与える要因の洗い出し活動継続活動継続
生物多様性保全に関する社会貢献活動を拡大活動継続

活動継続

従業員の認識を深める教育活動継続活動継続
◆中期計画2028(MTP2028)目標と各年度の目標・実績
MTP20282026年度 目標
事業活動が生物多様性に与える要因の洗い出し優先確認拠点における管理状況の確認
自然共生サイトの登録、支援の推進重点サイトの選定
生物多様性保全に関する社会貢献活動を拡大活動継続

主な取り組み

生物多様性に関する主な取り組み
◆NSKの事業と生物多様性の関わり
生物多様性との関わりの評価

生物多様性との関わりを評価するツール(ENCORE)を用いて、NSKの事業及びサプライチェーン上流・下流の生態系サービスへの依存と影響を分析しました。その結果、NSKグループが属する事業セクターについて、非常に大きな依存及び影響を与える生態系サービスは認められませんでしたが、上流及び下流のサプライチェーンの事業セクターにある依存及び影響の大きいバリューチェーン活動を特定しました。

なお、事業活動による潜在的な影響は、温室効果ガス排出や土壌汚染物質、固形廃棄物、水質汚染物質、水使用の項目が、比較的大きいことが明らかになりました。今後、さらに分析・評価を進めていく予定です。

※ENCORE: Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure。 NCFA(Natural Capital Finance Alliance:自然資本分野の国際金融業界団体)とUNEP-WCMC(UNEP World Conservation Monitoring Centre:国連環境計画 世界自然保全モニタリングセンター)が共同開発。環境変化が経済に与える影響を可視化するツール。2024年7月に大幅にアップデートされた。

生物多様性への影響分析と取り組みについては、こちらをご覧ください。

◆自然関連リスクの評価アプローチ

NSKグループは、TNFDのLEAPアプローチを参考に、複数の評価ツールを用いて自然関連課題の一次評価を進めています。現在の進捗は以下のとおりです。

LEAPの段階進捗・実施内容主なツール
L(Locate)
自然との接点の把握
評価対象とした全75生産拠点について、保護・保全地域、湿地、流域等との接点を確認IBAT、BRF、Aqueduct、WRF

E(Evaluate)
依存・影響の評価

自社事業および上流・下流の潜在的な依存・影響を整理ENCORE
A(Assess)
リスク・機会の評価
各ツールの評価結果を組み合わせて自然関連リスクを一次評価し、優先確認拠点の候補を抽出。今後、関係拠点への確認を踏まえ、確認対象を決定。IBAT、BRF、Aqueduct、WRF、ENCORE
P(Prepare)
対応・報告の準備
確認対象を決定後、管理状況を確認し、必要な対応と情報開示の充実を検討。

今後は、関係拠点への確認を踏まえて確認対象を決定し、管理状況の確認を通じて、リスク・機会および財務影響の評価を段階的に深化します。

◆生物多様性リスク評価

IBAT※1分析

NSKグループの全ての生産拠点から半径3km以内の自然保護地域(世界自然遺産、IUCN※2カテゴリーⅠ、Ⅱ、Ⅲ、ラムサール条約湿地)を調べた結果、IUCNカテゴリーIbの自然保護地域に近接する拠点を1拠点、IUCNカテゴリーⅢの自然保護地域に近接する拠点を1拠点、ラムサール条約湿地に近接する拠点を3拠点確認しました。これらの拠点では、生物多様性に最大限配慮しています。

IUCNカテゴリーIbの自然保護地域の周辺にある工場では、周辺の野生生物への影響に配慮することが重要であると認識しています。そこで、工場から発生する食品廃棄物を敷地外の委託先で堆肥化するとともに、敷地内にビーホテル(ハチ類の営巣場所)やポリネーターガーデン(花粉媒介者を支える植栽エリア)を整備するなど、生物多様性保全のための取り組みを進めています。また、ラムサール条約湿地である琵琶湖の周辺にある工場など、湿地や水源地の近くにある工場では、水質汚染による影響が生物多様性の保全上特に重要なリスクであると認識しています。そこで、工場内の雨水排水経路に油膜検知器を設置することにより、わずかな油の流出も防止するなど、水質保全のための取り組みを強化しています。

※1 IBAT: Integrated Biodiversity Assessment Tool バードライフ・インターナショナル、コンサベーション・インターナショナル、IUCN(国際自然保護連合)、UNEP-WCMC(国連環境計画 世界自然保全モニタリングセンター)によって提供される生物多様性のリスクを把握するためのツール
※2  IUCNカテゴリー: International Union for Conservation of Nature and Natural Resources (自然及び天然資源の保全に関する国際同盟)が定めた保護地域管理カテゴリー。

生物多様性保全に関する社会貢献活動

WWF Biodiversity Risk Filter分析

WWF Biodiversity Risk Filter(BRF)v3.0を用いて、全生産拠点の生物多様性リスクを一次評価しました。物理的リスク、規制欠陥リスク、評判リスクのうち2区分以上でHighとなった13拠点(中国8、インドネシア3、タイ2)と、物理的リスクが最も高かったインドの1拠点を、優先確認拠点の候補として抽出しました。

関係拠点への確認を踏まえて確認対象を決定し、管理状況を確認した上で、必要な対応を検討します。

※本評価は所在地・業種等に基づく一次スクリーニングであり、実際の環境影響、法令遵守状況、財務影響を示すものではありません。