2025年09月24日

日本精工株式会社
コーポレート・コミュニケーション部

軸受の再生・再利用を促進する取り組みの検証を開始

~カーボンニュートラル社会の実現に向けて、新たな事業モデルの確立を推進~

 日本精工株式会社(本社:東京都品川区、取締役 代表執行役社長・CEO:市井 明俊、以下 NSK)は、 カーボンニュートラル社会の実現に向けて、当社製品を活用する設備のメンテナンスや補修、廃棄までを含めたプロダクトライフサイクルを通じて、お客様と価値を協創する新たな事業モデルの確立に取り組んでいます。この一環として、NSK独自の診断技術を活用した、軸受の再生・再利用を促進する取り組みについて、この度、グローバルにビジネスを展開する製鉄会社のメンテナンス現場にて検証を開始しました。

 

1. 背景と課題

 鉄鋼や製紙、鉱山などの設備では、一般的に、設備の定期的なメンテナンスの一環として、設備から軸受を取り外し、分解洗浄後に外観調査に基づき表面の研磨など必要な補修を施した後、再び設備へ取り付けて再利用をしています。

 軸受はそのライフサイクルにおいて製造時に多くのCO₂を排出するため、軸受の寿命を残さず最期まで使用することで、お客様のメンテナンスコストの削減やカーボンニュートラル実現に貢献することができます。しかし現状では、メンテナンスを実施する現場で、簡単・正確に軸受の余寿命を把握できる手法が普及していないことから、設備の安定稼働を担保するため、一定時間稼働した軸受は寿命を残したまま廃棄されている、という課題があります。また、設備へ再び取り付ける前には、作業者が軸受の外観を目視してその再利用可否を判断していますが、作業者の技量に依存しており、その高齢化も進んでいるため、精度のばらつきやノウハウの伝承に課題があります。

 

2.課題解決のためのNSKの新たなアプローチ

 この軸受の再生・再利用における課題の解決に向けて、NSKは独自の「非破壊疲労度診断」技術を開発しました。本技術により、軸受を破壊せずに現場で簡単に、かつ正確に軸受の疲労進行度を把握できるようになります。これに加えてNSKでは、再利用することを前提とした新しい設計思想の「再利用可能軸受」も開発し、そのラインナップの拡充を進めております。また、軸受の製造から状態監視・診断、再生・再利用までが記録された「軸受トレーサビリティデータ」をもとに、軸受の使用やメンテナンス最適化の提案に活用していきます。​

 今後、これらの診断技術や再利用に対応した製品、データ活用を通じて、安心・安全に軸受を再生・再利用できるサービスを新たな事業モデルの一つとして提案します。軸受を今まで以上に長くご使用いただくことで、お客様のメンテナンスにかかわるコストの削減と環境負荷低減への取り組みに貢献していきます。

プロダクトライフサイクルを通じた新たな事業モデル

3.今後の展開

 今回の軸受の再生・再利用に向けた取り組みをはじめとして、プロダクトライフサイクルを通じた新たな事業モデルをソリューションとして2026年より順次提供していきます。今回検証を開始した鉄鋼業界に限らず、製紙、鉱山、さらには鉄道、風力発電など様々な業界のお客様とともに、社会課題解決に貢献する価値協創を進めていきます。

 

■参考リリース

 

■ 製品情報

 

■NSKについて

 NSKは、1916年に日本で最初の軸受(ベアリング)を生産して以来、100年以上にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきました。1960年代初頭から海外に進出し、現在では約30ヶ国に拠点を設け、軸受の分野で世界第3位、またボールねじ、電動パワーステアリングなどにおいても世界をリードしています。

 企業理念として、MOTION & CONTROL™を通じて円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めることを掲げています。2026年に向けてNSKビジョン2026「あたらしい動きをつくる。」を掲げ、世の中の期待に応える価値を協創し、社会への貢献と企業の発展の両立を目指していきます。

 NSKについての詳細は、こちらのページをご覧ください。