環境貢献型製品
製品づくりの考え方
◆製品の環境貢献最大化への取り組み
企業理念に定める「円滑で安全な社会への貢献」と「地球環境の保全」を目指し、NSKは、トライボロジー・材料技術・解析技術・メカトロ技術に生産技術を加えた4コアテクノロジープラスワンを駆使し、「環境貢献型製品開発の基本方針」に沿って環境貢献型の製品や技術の開発を進めています。
世界中の多くの自動車や産業機械が長時間にわたり稼働することで膨大なエネルギーを消費していますが、NSK製品は小型・軽量化や低トルク化などにより、そのエネルギー消費を極限まで減らすことを目指しています。また、風力発電機などの再生可能エネルギー関連の設備にも使用され、その普及に貢献しています。一方で、NSK製品の主要な材料である鉄の製造や加工には多くの資源を必要とするため、製品の寿命延長や再生利用を通じて廃棄物の削減と資源の有効活用を推進しています。これらの取り組みにより、製品のライフサイクル全体でのCO2排出量削減に取り組んでいます。
◆環境貢献型製品開発の基本方針

◆製品ライフサイクルの各段階での確認要件及び配慮事項
NSKは、製品のライフサイクル全体について、以下の表に示す項目等に配慮し、製品の環境貢献の最大化および、鋼材や水をはじめとする資源の使用量削減やGHG排出量低減などによる環境負荷の最小化に努めています。
ライフサイクル | NSKの取り組み(省資源、省エネルギー、安全・クリーンに貢献) |
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原材料調達 |
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生産 |
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輸送 |
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使用 |
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廃棄・リサイクル |
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※環境負荷物質:NSKは、各国・地域の法令や業界ガイドラインを考慮し、有害物質、オゾン層破壊物質、大気・水質・土壌・地下水汚染物質など、人の健康や生態系、環境保全に支障を及ぼす、またはその懸念のある化学物質を環境負荷物質として定義し使用を禁止するなど、適切に管理しています。詳細は環境負荷物質対策をご覧ください。
目標と実績
◆中期経営計画2026(MTP2026)目標と各年度の目標・実績
MTP2026目標 | 2023年度目標 | 2023年度実績 | 2024年度目標 | |
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環境貢献型製品の創出 | NSK環境効率指標(Neco) 1.2以上の環境貢献型製品の創出(継続) | 創出の継続(1製品以上) | 3製品を開発 | 創出の継続(1製品以上) |
NSK製品使用段階のCO2排出削減貢献量 300万t-CO2以上 | 247万t-CO2 | 243万t-CO2 | 249万t-CO2 |
NSKの環境貢献を表す指標
NSKでは製品による環境貢献を表す指標として「NSK環境効率指標(通称Neco)」および「CO2排出削減貢献量」を独自に規定し運用しています。
「NSK効率指標 Neco」は、寿命などのファクターによって製品の環境貢献度を評価するものです。また、それらのファクターから直接的に生じるCO2排出削減貢献(直接貢献)や風力発電などへの間接的なCO2排出削減貢献(間接貢献)を「CO2排出削減貢献量」として評価しています。
これらの指標によって貢献度を定量化することにより、CO2排出削減などの環境に貢献する製品開発を推進しています。

◆NSK環境効率指標 Neco
NSKは製品開発時に環境貢献度を総合的かつ定量的に評価する独自の尺度として「NSK環境効率指標」(NSK eco-efficiency indicators、通称Neco(ネコ))を導入しています。
Necoは、「製品価値V」を「環境負荷E」で除した数値によって表されます。分子の「製品価値V」は、寿命や精度、許容回転数など性能を評価するファクターで構成され、分母の「環境負荷E」は、製品重量や消費電力、摩擦損失など環境負荷を評価するファクターとし、従来製品を1とした場合の開発製品の改善度合いを数値で表します。「製品価値V」が大きく、「環境負荷E」が小さいほどNecoの値は大きくなり、環境にやさしい製品といえます。
新開発の軸受をNecoで評価した場合、従来製品に比べ寿命が長く、高速に回転でき、小型で重量が軽く、摩擦損失が少ない製品ほど値は大きくなります。NSKでは開発製品のNecoの値を1.2以上にすることを目指しています。

◆CO₂排出削減貢献量
NSKは製品使用段階のCO2排出削減貢献について、直接貢献と間接貢献の2つのカテゴリーで取り組みを推進しており、2023年度には243万トンの排出削減に貢献しました。2026年度までに300万トン以上の削減貢献を目指して取り組みを引き続き強化し、社会全体のCO2排出削減に貢献していきます。

製品による使用段階でのCO₂排出削減貢献の考え方
カテゴリー | 貢献の考え方 | CO2排出削減貢献例 |
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直接貢献 | NSK製品単体の性能が直接的にCO2排出削減に貢献するもの |
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間接貢献 | NSK製品が組み込まれたお客様の装置や設備がCO2排出削減に貢献することで、間接的に貢献するもの |
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◆直接貢献
軸受の摩擦損失低減など既存製品からの性能向上によって、NSK製品が組み込まれたお客様の機械のエネルギーロス低減に直接的に効果を発揮しCO2排出削減に貢献する製品です。
以下の数式によって貢献度を算定しています。
CO2排出削減貢献量(製品単位)=ΔPCO2 × 年間稼動時間 × 使用期間 × 製品販売量
ΔPCO2:製品の単位時間当たりのCO2排出削減貢献量(CO2/hr)
年間稼動時間:製品の年間稼動時間(hr/年)
使用期間:製品の使用期間(年)
製品販売量:当該年度の製品販売量
※(一社)日本ベアリング工業会にてガイドラインを策定
事例:低フリクションハブユニット軸受
ハブユニット軸受には、苛酷な使用環境を前提として外部からの泥水侵入防止用の密封シールが装着されています。ハブユニット軸受には、摩擦の低減による効率向上が期待されますが、低フリクション化を追求すると使用段階の信頼性を損なう恐れがあります。
NSKは、軸受内部設計の最適化、最適なグリースの選定および低フリクションシールの開発により、使用段階の高信頼性を確保とフリクションの40%低減を両立した「低フリクションハブユニット軸受」を開発しました。

詳細はこちらをご参照ください。
◆間接貢献
風力発電設備やプラスチック製品の製造に使われる電動射出成型機(油圧の電動化)用のボールねじなど、NSK製品がお客様の設備に組み込まれることにより、間接的に貢献する製品です。風力発電の分野においては、開示されている軸受の寄与率などをもとにガイドラインを設定し、以下の数式で貢献度を算定しています。
CO2排出削減貢献量(装置単位)=ΔPCO2 × 年間稼動時間 × 使用期間 × 寄与率 × 普及(販売)量
ΔPCO2:装置の単位時間あたりのCO2排出削減貢献量(CO2/hr)
年間稼動時間:装置の年間稼動時間(hr/年)
使用期間:装置の使用期間(年)
寄与率:装置におけるNSK製品の寄与率(%)
製品普及(販売)量:当該年度の普及(販売)量
事例:風力発電機用軸受
風力発電機は部品交換が容易ではないため、20年間の安定稼働が求められています。このため、風力発電機用の軸受には高い信頼性が必要です。NSKは、風力発電機の性能を左右する増速機に使用される高品質な軸受を提供し、再生可能エネルギーの普及に貢献しています。NSKの軸受は、高度なコンピューター解析技術、材料、熱処理に対する深いノウハウ、実物大軸受の試験評価技術などにより世界トップクラスの性能を実現しています。

◆サービスによるCO₂排出削減
製品を販売するだけでなく、補修などの技術サービス、さらには状態監視技術などを通じて製品の再生や廃棄までのライフサイクル全体におけるCO₂排出削減を進めています。

事例:状態監視ソリューションおよびリコンディショニング
状態監視ソリューションは、設備内の回転や直動を行う機構の振動を計測・解析し、製品の状態や寿命を診断することで、機械の信頼性向上と長寿命化に貢献します。また、リコンディショニングは、製品の修復を行うことで再利用を可能にします。

◆脱炭素社会への貢献
NSKは、脱炭素社会への貢献を「収益を伴う成長」の機会と捉えています。なかでも「モビリティ」や「再生可能エネルギー」、「産業機械/工作機械」にフォーカスし、強みを持つ精密軸受や精密ボールねじ、電動車向け部品など、高度な技術力を活かして社会のニーズに応え、持続的成長の実現を目指していきます。
た。
事例:自動車のEV化、電動化による環境貢献
