基本的な考え方
NSKグループは、原材料などに使用する資源の有効活用を図り、3R(リデュース・リユース・リサイクル)を推進することで、循環型社会の構築に貢献していきます。開発・設計部門では、製品の軽量・長寿命化設計により最小限の原材料で生産でき、使用後にリサイクルしやすい製品の開発に努めています。生産部門では、鋼材等の資源有効活用に向けて工具・金型の改良や廃液の社内処理、物流部門では梱包・包装の繰り返し使用などにより廃棄物の排出量を削減するとともに、リデュース・リユース・リサイクルを進め、焼却・埋立て「ゼロ」を目指します。
水資源に関しては、事業所の立地環境や水使用量などを評価した結果、水の利用が制限されるリスクは低いと判断していますが、将来のリスクに対して、生産部門における冷却水の循環利用や空冷化、排水の浄化処理による再利用などの対策により、使用量の削減を推進しています。また、廃棄物の適正処理を徹底するため、産業廃棄物の委託処理業者の現地確認や情報システムを活用した管理の高度化などを進めます。

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目標と実績
第6次中期経営計画(2019〜2021年度)目標と2021年度の目標・実績
第6次中期経営計画目標 | 2021年度目標 | 2021年度実績 | 取り組み | |
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開発 | 製品鋼材等廃棄量削減取り組み継続 | 加工方法の変更などにより素材の無駄を削減 | 加工方法の変更などにより素材の無駄を削減 |
|
調達 | − | − | − |
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生産 | 廃棄物原単位 2017年度比4%削減 |
廃棄物単位 2017年度比4%減 |
廃棄物原単位 2017年度比9.5%増加 |
|
リサイクル率99% | リサイクル率99% | リサイクル率98.8% | ||
水使用量原単位 2017年度比4%減 |
水使用量原単位 2017年度比4%減 |
水使用量原単位 2017年度比5.8%増加 |
||
物流(日本) | 廃棄物原単位 2017年度比15%削減 |
廃棄物原単位 2017年度比15%削減 |
廃棄物原単位 2017年度比45.3%増加 |
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取り組み
生産工程での取り組み
大型ボールねじのナット鍛造化による鋼材使用効率の向上
工作機械や電動射出成型機などに使用されるボールねじは、お客様の仕様に合わせた形状のナットを製作し、軸と組み合わせて出荷しています。
ナットを製作する際、従来はナットの直径が一番大きいフランジ部分にあわせた円柱状の鋼材から、余分な部分を機械で削り落としていました。これを、改善前より直径の小さい鋼材から鍛造加工することで、鋼材使用量を44%削減することができました。

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研削廃液の削減
NSKグループの廃棄物の約4割は、研削工程などで発生した廃液が占めており、廃液をテーマとした削減対策を進めています。廃液を蒸留できる廃液蒸留濃縮装置や、短時間で液体を乾燥させる高性能濃縮・乾燥機を導入し、廃液の削減に努めています。蒸留された⽔の⼀部は、設備冷却に再使⽤し、資源の有効活⽤を図るとともに、濃縮された廃液も社外で燃料などにリサイクルされています。

プラスチックバックの再利用
NSKグループでは、プラスチック使用量削減の取り組みを進めています。NSKベアリング・マニュファクチュアリング(タイ)社では、サプライヤー様から部品を納品していただく際に使用している梱包材の内、プラスチックバックは1回使用したら廃棄していましたが、汚れがひどくなければさらに1回使用することでプラスチックバックの使用量を1,000枚削減しました。

プラスチックコンテナのリサイクル
プラスチックごみは、海の生態系に甚大な影響を与えるなど社会的な問題となっています。NSKグループの廃棄物の中で、廃プラスチックは約1%ですが、廃プラスチック削減の取り組みを進めています。取り組みの一つとして日本では、プラスチックコンテナ(通い箱)のクローズド・リサイクルを行っています。

水資源の再利用
AKSプレシジョンボール・インドネシア社では、廃水処理場を新設し、処理水の再利用を実施しています。再利用水は、床拭き水、植物への水やり、冷却塔の水への充填に利用しています。

物流工程での取り組み
廃棄物の削減
物流部門では、リデュース・リユース・リサイクルの取り組みをグローバルで行い、 廃棄物の削減を進めています。
米州では、以前は輸入品の開梱後の梱包資材を廃棄物として埋立処分していました。そこで、2020年度から業者に売却し、焼却により生じたエネルギーを再利用(サーマルリサイクル)するようにしました。
欧州においては、日本からの輸送に使われた木製パレットが欧州規格(ユーロパレット)とサイズが異なるため、再利用ができずに廃棄されていました。そこで、2020年度から木製パレットを日本やアジア・オセアニア地域に返却し、その後、地域間の輸送に再使用する運用を開始しました。これにより、欧州で廃棄されるパレットを前年度比約70%削減することができました。
