NSKは、若年層を中心にベアリングの機能や面白さを伝えるため、2023年4月29、30日に開催された「ニコニコ超会議2023」の「超ニコ四駆2023」企画に参加しました。会場では、NSKマイクロプレシジョンが提供したベアリングを使ったオリジナルマシンで速さを競うレース「超ルール無用JCJCステージ」が行われ、生放送で配信されました。
NSKとしては初めてのあたらしい取り組みでしたが、800人以上の方がNSKブースに立ち寄っていただき、30,000件を超える生放送のリアルタイムコメントなど、当初の想定以上の反響がありました。
NSKとニコニコ超会議の意外なマッチングにつながったのは、NSKの技術・製品でホビー分野にもっと貢献したいという熱い想いです。
企画に携わった2名に話を聞きました。
◆プロフィール
石井 俊和（写真左）
NSKマイクロプレシジョン株式会社 代表取締役社長
郡嶋 聡太郎（写真右）
日本精工株式会社 産業機械事業本部 E&E本部 E&Eマーケティング部 副主務
◆NSKがニコニコ超会議に初参戦
石井ニコニコ超会議には初めての参加でしたが、NSKとしては非常に良い成果が得られたと思います。
会場のNSKブースではベアリングの組立体験や、自動車のタイヤ部分に使われるハブベアリングの展示などを行いました。若い方やお子さんなど、普段はベアリングに触れる機会がない多くの方に、NSKの技術を体感いただくことができました。工場でも習熟した職人が組み立てる難易度となる、直径3㎜の極小ベアリングで組立体験を行ったら、50人近くの方が組み立てられたことも驚きでした。超会議の参加者はBtoBの製品や技術に興味をもってくれる方も多く、意外な親和性を感じました。
石井私も出演させていただいた「超ルール無用JCJCステージ」では、クリエイターの皆さんの熱意に圧倒されました。それぞれの個性が光る発想と、それを3DプリンタやCADを駆使して形にする力、さらには本番で走りぬく力を見せていただいて、時間を忘れるほど楽しかったです。生放送では多くの方がNSKやベアリングに対しての好意的なコメントをリアルタイムで送っていただいて、とても感謝しています。
郡嶋私は現在のマーケティング部門に所属する前は、技術部に在籍するエンジニアでした。ラジコンなどのホビーカーが大好きで、ベアリングを知ったきっかけでもあります。「超ルール無用JCJCステージ」は会場で観覧しましたが、真剣でハイレベルな戦いだと感じました。
◆ホビー分野の高い要求に応えるベアリング
郡嶋高精度・低トルクのベアリングは、ホビーカーの性能向上にも大きく貢献しています。ラジコンやヨーヨー、自転車など、ハイエンドなホビーは必ず高性能なベアリングに行き着きます。
今は子どもだけでなく、大人もホビーに熱中する方が増えており、私自身も趣味の分野ではコスト度外視で性能・速さを追い求めます。その経験から、例えば軽くて高精度のセラミックボールベアリングなどは、市場から好反応が得られるのではと考えています。
石井ベアリングを趣味で使っていただいている方の熱意には、メーカーとしてぜひ応えたいと思っています。
NSKマイクロプレシジョンにとって、ヨーヨーをはじめとするスキルトイの取り組みは10年以上になります。きっかけは、ニコニコ超会議にも出ていただいた、ヨーヨーマスターのTAKAさんが展示会で声をかけてくださったこと。実はヨーヨーは、1分間に15,000回転という高回転に加え、縦、横、斜めと負荷がかかるので、ベアリングにとってとてもシビアな環境です。納得感のあるパフォーマンスを支える高性能なベアリングを求めて、TAKAさんと一緒にヨーヨー向けベアリングの開発を行った結果、トップレベルの大会で多くの選手に使っていただける製品ができました。
石井ホビー分野ではユーザーの感想を直接いただく機会が多く、製造部門をはじめとした社員のモチベーションにもなっています。
ユーザーの「人生をかけた戦い」を支えるベアリング技術のパートナーとして、これからも貢献していきたいと考えています。
◆ホビー向けNSKベアリングの展開
郡嶋例えば、NSKの強みである高い技術力、高い品質を生かした、ホビー向けベアリングをシリーズ化してみたいです。NSKの開発力があれば、圧倒的な回転性能を有したベアリングを提供できるはずです。
また、トップレーサーは、より速く走らせるために大量のベアリングを購入し、ガタが少なくよく回るベアリングを選別しています。NSKの生産技術力を生かして、バラつきの少ない高品質なベアリングをホビー市場に展開できると思います。
石井ニコニコ超会議では、NSK賞を受賞されたユウタさんに、賞品として「ベアリングを一緒に開発する権利」を贈呈しました。一緒に開発したベアリングを「ルール無用JCJCタイムアタック」ファンの皆さんにお届けする方法も探っているところです。
また8月には、複数のクリエイターにNSKマイクロプレシジョンの工場見学に来ていただけることになりました。製造工程を見てもらいながら、どんなベアリングを開発していくか、座談会でざっくばらんに意見交換したいと考えています。
「超ルール無用JCJCステージ」で熱い戦いを見せてくれた選手の皆さんが参加する、工場見学・座談会の様子は後編でご紹介予定です。
ぜひご覧ください！