幅広いお客様とのコミュニケーションの場である製品や技術の展示会。コロナ禍で展示会の在り方も変化しています。NSKは、1月25日から2月26日まで、独自としては初となるWeb展示会「NSK VIRTUAL EXPO」を自社開催します。企画を担当した社員に話を聞きました。
◆プロフィール
山本 力(写真上段左)
産業機械事業本部 インダストリアル本部 インダストリアルマーケティング第二部
中村 圭佑(写真上段右)
産業機械技術総合センター 産業機械軸受技術センター 工作機械技術部 副主務
矢野 吉章(写真下段左)
産業機械技術総合センター 直動技術センター LG技術部 副主務
松村 恵介(写真下段右)
技術開発本部 CMS開発センター 副主務
◆NSKにとって初のWeb展示会
NSKは、工作機械業界におけるコミュニケーションの機会として、「JIMTOF2020 Online 第30回日本国際工作機械見本市」(以下、「JIMTOF2020 Online」)への出展、NSKの独自Web展示会の開催、個別の技術交流会をメインに進めています。
山本JIMTOFは2年に一度開催される工作機械関連の展示会で、2020年はオンライン形式で開催されました。オンラインのメリットとして、製品や技術ページの閲覧数などを数値で見ることができるので、来場してくださった方がどういったことに興味を持っているのかを認識することができました。NSKにとってWeb展示会に出展するのは初めてのことでしたが、来場者の方の要望やどのように感じられているのかまでは掴むことができず、オンラインで来場者の方の声を聞くことの難しさを感じました。
◆NSKの総合技術力を活かした提案を
山本次のステップとして、1月25日から1か月間にわたり、NSKが独自にWebサイト上で実施する展示会「NSK VIRTUAL EXPO」を開催します。単独の展示会というNSKの製品や技術を集中して見ていただくことができる環境において、見せ方を工夫した発信を行うことで、今後のビジネスのきっかけにつながるようなコミュニケーションの実現を目指しています。
「JIMTOF2020 Online」と同様、出展コンセプトは「技あり」で、NSKのあたらしい動きを具現化するさまざまな先進的な製品・サービスを広くご紹介します。「JIMTOF2020 Online」や「NSK VIRTUAL EXPO」を企画していくにあたり、活動コンセプトとして「Cross Technology」を掲げました。NSKは、工作機械に不可欠な精密軸受、ボールねじ、直動案内、スピンドルという4つの要素部品を生産・開発している唯一のメーカーです。その総合技術力を活かした提案をすること、それが「Cross Technology」の意味するところです。NSKトータルでの価値を訴求するために、技術部の各部署が単体で検討するのではなく、部署横断型のプロジェクトチームを複数つくり、工作機械のトレンドを掴み、それにマッチするものを生み出していこうという動きを進めています。
中村これまでのJIMTOFでは、各部署がそれぞれの担当製品の展示品を企画していました。今回の「NSK VIRTUAL EXPO」は、部署横断型の複数のチームで企画を進めていたので、早い段階から自分の担当製品以外についても、情報を交換することができ、結果としてより良い展示になったと思います。
松村各チームには、技術部のメンバーだけでなく、営業のメンバーもいるところが特長だと思います。技術部は、新しい製品をお客様に知っていただきたいという想いが強くあるのですが、営業はすでに出展した製品であってもお客様にさらに訴求することで興味を持っていただこうという視点も持っており、そういったお客様に近い場所にいるメンバーの視点と技術部のメンバーの視点を融合できたことが良かったと思います。
また、これまでは、製品ごとに分けて展示をすることが多かったのですが、今回は、お客様に提供できる価値でカテゴリー分けをして、NSKの総合的な強みを分かりやすくお伝えできるようにしました。
矢野コロナ禍で企画を進めるにあたり、各部署のメンバーを交えての意見交換はオンラインでの実施となりました。何度も打ち合わせを重ねましたが、回を重ねるごとにオンライン会議にも慣れて、スムーズに進んだと感じています。
中村「NSK VIRTUAL EXPO」は、オンラインだからこそできる施策の幅は広がりますが、だからこそ、取捨選択する難しさもあり、何をやるかを目的に立ち返りながら決めてきました。一つの施策として、NSKの製品や技術を広く、深く知っていただくために、セミナーを行います。CG動画や文章など無機質な発信だけではなく、製品のメリットや開発の背景などを、プレゼンテーション形式でエンジニアの口から伝えた方が、より伝わるのではないかと考えました。
矢野実際の展示会場では、来場者の方と会話をすることにより、新しい施策の構想の種が生まれることもあります。オンラインではそれが難しいので、セミナーへの質問をチャットで受け付ける期間を設け、リアルタイムで質疑対応をできるようにしました。来場者の方からどんな声が届くのか、どのくらいの人数に見ていただけるか、楽しみです。
◆今後もさまざまな視点を融合させて
松村同じ業界をお客様にしていても、部署によってさまざまな考え方があると、改めて感じ、互いを尊重し合いながら、納得していく形で進めていくことの重要性を学びました。今後も、社内外問わず、相手の文化を尊重して、コミュニケーションを取りながら、物事を進めていきます。また、部署横断型で進めることにより、オフラインの展示会だったらこんな見せ方ができるねという話をしたり、ポストコロナの展示会の在り方についても考えることができたので、今後につなげていきたいです。
矢野私は、いろいろな部署の人がアイデアを出し合いながら、課題を解決していく様子を目の当たりにして、非常に参考になることが多かったです。どうやって合意を形成していくのかを考える良い経験になりました。人の意見をしっかりと聞きながら、話し合いを進めていくことを今後も意識していきます。
中村Web展示会やWebでのプレゼンテーションは、チャットなどの機能はあるものの、基本的に一方通行のコミュニケーションになってしまいます。そういった条件の中で、いかに誤解なくもれなく伝えるかということを心掛けました。今後、技術交流会などお客様に直接説明させていただく機会に活かしていきたいと思います。
山本コロナ禍で働き方やビジネスの在り方が変わり、ポストコロナでもリモートワークやデジタルツールの活用はますます重要になってくると思います。この変革を機会ととらえ、デジタル技術を用いた営業支援ツールや顧客サービスツールをさらに拡充していきます。
お客様と意見交換させていただける機会を創出し、お客様の声を社内で共有し、新たなソリューションをご提案するという目的を忘れずに、取り組んでいきます。