風力発電機用 次世代高負荷容量円すいころ軸受を開発

  • ころのクラウニング形状(*1)最適化により、負荷容量が従来比で約25%アップ
  • 高負荷容量化により軸受が長寿命化・軽量化、風力発電機の大型化と洋上風力発電の普及に貢献

日本精工株式会社(本社:東京都品川区、代表者:取締役 代表執行役社長・CEO 市井 明俊、以下NSK)は、風力発電機の建設やメンテナンスのコスト削減に貢献し、大型化・洋上風力発電普及を支える「風力発電機用 次世代高負荷容量円すいころ軸受」を開発しました。

本製品は、欧州大手風力発電機メーカー向け15MWクラス洋上風力発電機の増速機に採用が決定し、2024年度に量産および納入を開始します。また、中国市場向けにも2024年度に納入を開始予定です。NSKは本製品の売上として、2026年までに年間40億円を目指します。

(*1)軸受の構成部品「ころ」に施されている、ころ端部での応力集中を避けるためのわずかな円弧形状のこと。


風力発電機の増速機と、本開発品
風力発電機の増速機と、本開発品

開発の背景

近年、脱炭素の推進により風力発電市場は拡大傾向にあります。その中でも、風力発電機の発電効率向上が一層求められており、より大型の風力発電機や洋上風力発電機の開発が加速しています。

発電機の建設・輸送コストやメンテナンスコストの低減への要求も高まっており、風力発電機に搭載される軸受には長寿命化および軽量化が期待されています。

製品の特長

1. 高負荷容量化による信頼性向上、長寿命化

NSKの解析技術・生産技術により、ころのクラウニング形状の最適化に成功。従来比で約25%の負荷容量アップを実現。この高負荷容量化により、従来比2倍以上の長寿命化を実現。


ころのクラウニング形状を最適化
ころのクラウニング形状を最適化

ころのクラウニング形状を最適化することで、ころと内輪および外輪の接触面圧を低減・均一化し、高い荷重がかかっても、ころ端部で過大な面圧が発生することを防止できます。


従来品では、ころ端部で過大な面圧が発生。本開発品では、面圧が均一。
2. 軽量化

高負荷容量化により、従来比約30%以上の軽量化を実現。

従来品では、高い荷重がかかると、ころ端部で過大な面圧が発生したため、軸受をサイズアップすることで高負荷荷重に対応していました。本開発品では、面圧が均一なため、サイズアップが不要となり、従来品と同等の使用条件においては30%以上の軽量化が可能です。

製品の技術

ころのクラウニング形状の最適化を実現した、NSKのコアテクノロジー

1. 解析技術:

風力発電機用の軸受に求められる条件に対し、最適なクラウニング形状の設計を実現

2. 生産技術:

本製品の複雑なクラウニング形状を、高い生産性で実現させる加工技術を新たに開発

NSKについて

NSKは、1916年に日本で最初の軸受(ベアリング)を生産して以来、100年以上にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきました。1960年代初頭から海外に進出し、現在では約30ヶ国に拠点を設け、軸受の分野で世界第3位、またボールねじ、電動パワーステアリングなどにおいても世界をリードしています。

企業理念として、MOTION & CONTROL™を通じて円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めることを掲げています。2026年に向けてNSKビジョン2026「あたらしい動きをつくる。」を掲げ、世の中の期待に応える価値を協創し、社会への貢献と企業の発展の両立を目指していきます。

プレスリリース記載の情報は報道発表日時点の情報です。
予告なしに変更され、ご覧になった時点と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。