世界初の「バイオマスプラスチック保持器」搭載 深溝玉軸受を開発

~エアコンファンモータ向けに製品化~

  • 植物由来の耐熱バイオマスプラスチック*1保持器を搭載した深溝玉軸受を開発
  • エアコンファンモータ向けに製品化

日本精工株式会社(本社:東京都品川区、代表者:取締役 代表執行役社長・CEO 市井 明俊、以下NSK)は、世界で初めて100%植物由来の耐熱バイオマスプラスチック※1保持器を搭載した深溝玉軸受を開発しました。

NSKは、カーボンニュートラルな社会の実現に取り組んでいます。この一環として、従来の石油由来のプラスチックに比べCO2削減効果の高いバイオマスプラスチックの採用を拡大していきます。NSKは、本製品の売上として、2024年に8億円を目指します。

*1:バイオマスプラスチック・・・再生可能な生物(主に植物)由来の資源を原料にしたプラスチック

エアコンファンモータ用に適用される
バイオマスプラスチック保持器
エアコンファンモータ用に適用されるバイオマスプラスチック保持器

開発の背景

新興国の中間所得層の増加や、新型コロナウイルス感染拡大による換気機能付きなどの高機能エアコンへの買い替え需要の高まりを受け、エアコンの販売台数増加が見込まれています。

軸受は、エアコンの空気を室内に送りだすファンモータに使用されています。今回、NSKは、環境に優しいバイオマスプラスチック保持器を本軸受に適用することで、カーボンニュートラル実現への貢献を目指します。

開発品の特徴

  • 100%バイオマスプラスチック保持器を、エアコンファンモータ用軸受として初めて製品化。
  • リアルデジタルツインの活用により、開発期間を短縮。
バイオマスプラスチックEcoPaXX

リアルデジタルツインの解析により、寸法、形状・変形、欠陥・成形不良、強度を評価し、従来のエアコンファンモータ用保持器と同等品質の保持器を短期間で試作することができました。

<軸受評価結果>

エアコンのファンモータ用の軸受には、信頼性に加え、静音性や低摩擦が求められています。本軸受は静音性、低摩擦に関する機能評価実験で、従来のプラスチック保持器と同等の性能を有することが確認されたため(下図)、従来保持器からバイオマスプラスチック保持器への置き換えが可能と判断しました。

静音性、低摩擦に関する機能評価実験結果
静粛性能
長寿命性能
摩擦損失性能

本製品の効果

プラスチック保持器は、鉄保持器に比べ、軽量、低摩擦、複雑な形状が可能という3つの特長があり、小型軸受を中心に広く採用されています。本バイオマスプラスチック保持器を用いることによって、さらに"カーボンニュートラル実現への貢献"という新たな価値を提供します。

NSKについて

NSKは、1916年に日本で最初の軸受(ベアリング)を生産して以来、100年にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきました。1960年代初頭から海外に進出し、現在では30ヶ国に拠点を設け、軸受の分野で世界第3位、また電動パワーステアリング、ボールねじなどにおいても世界をリードしています。

企業理念として、MOTION & CONTROL™を通じて円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めることを掲げています。2026年に向けてNSKビジョン2026「あたらしい動きをつくる。」を掲げ、世の中の期待に応える価値を協創し、社会への貢献と企業の発展の両立を目指していきます。

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