Press Release

(社)日本トライボロジー学会から「2020年度日本トライボロジー学会論文賞」受賞

日本精工株式会社(以下、NSK)は、一般社団法人日本トライボロジー学会※1より「2020年度日本トライボロジー学会論文賞」を受賞しました。本論文は、転がり軸受の実際の潤滑状態を定量的にモニタリングすることが可能であることを示したものであり、軸受の更なる低トルク化と長寿命化の両立に繋がる技術であることが評価されました。

なお、今回受賞した電気インピーダンス法については、昨年「2019年度日本トライボロジー学会奨励賞」を受賞しております。今後もNSKは、世界トップレベルの技術力によって、今後も安全・快適・環境にやさしい社会の実現、産業の発達、機械の進歩に大きく貢献していきます。

受賞者代表:日本精工(株) 技術開発本部 コア技術研究開発センター 副主務 丸山 泰右
受賞者代表:日本精工(株) 技術開発本部 コア技術研究開発センター 副主務 丸山 泰右

※1:(社)日本トライボロジー学会: 1956年にトライボロジー(相対運動しながら互いに影響を及ぼしあう2つの表面の間におこるすべての現象を対象とする科学技術)に関する技術の向上を目的に設立された。

日本トライボロジー学会のウェブサイト: https://www.tribology.jp/ New Window

受賞内容

受賞論文:Lubrication Condition Monitoring of Practical Ball Bearings by Electrical Impedance Method

近年、地球温暖化防止のため、軸受のさらなる低トルク化が求められています。このため、潤滑剤の粘度を下げる、あるいは潤滑剤の封入量を減らすといった手段が有効ですが、それらの方法は様々な表面損傷の原因となり得るため、軸受内に生じる油膜厚さを高精度に測定する方法が必要でした。

本受賞研究では、実際の玉軸受のEHD接触域※2における油膜厚さと油膜の破断率を同時にモニタリングできる電気インピーダンス法※3を開発しました。尚、本論文は日本精工(株) 技術開発本部 コア技術研究開発センターの前田 成志と国立大学法人 横浜国立大学 大学院環境情報研究院の中野健教授とともに発表したものになります。今後、様々な条件下において、転がり軸受の潤滑メカニズムを解明し、低トルクと長寿命を両立する転がり軸受の実現に貢献することが期待されています。

※2:EHD(ElastoHydroDynamic)接触: 接触面の弾性変形が無視できない接触状態

※3:電気インピーダンス法:交流回路における電圧と電流の比(=インピーダンス)を用いて、相対する二面間の油膜厚さと破断率を測定する方法

NSKについて

NSKは、1916年に日本で最初の軸受(ベアリング)を生産して以来、100年にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきました。1960年代初頭から海外に進出し、現在では30ヶ国に拠点を設け、軸受の分野で世界第3位、また電動パワーステアリング、ボールねじなどにおいても世界をリードしています。

企業理念として、MOTION & CONTROL™を通じて円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めることを掲げています。2026年に向けてNSKビジョン2026「あたらしい動きをつくる。」を掲げ、世の中の期待に応える価値を協創し、社会への貢献と企業の発展の両立を目指していきます。