Press Release

(社)日本トライボロジー学会から「2019年度日本トライボロジー学会奨励賞」受賞

日本精工株式会社(以下、NSK)は、一般社団法人日本トライボロジー学会※1より「2019年度日本トライボロジー学会奨励賞」を受賞しました。今回の受賞は、転がり軸受の性能を高めることで、地球環境保全に繋がる技術を開発したことが評価されました。NSKは、世界トップレベルの技術力によって、今後も安全・快適・環境にやさしい社会の実現、産業の発達、機械の進歩に大きく貢献していきます。

「2019年度日本トライボロジー学会技術賞」受賞
受賞者:前田 成志
  • ※1:(社)日本トライボロジー学会: 1956年にトライボロジー(相対運動しながら互いに影響を及ぼしあう2つの表面の間におこるすべての現象を対象とする科学技術)に関する技術の向上を目的に設立された。
  • 日本トライボロジー学会のウェブサイト: 「一般社団法人 日本トライボロジー学会」 New Window

受賞内容

受賞テーマ:EHD接触における膜厚と破断率の同時測定 - グリース潤滑の場合

近年、地球温暖化防止のため、軸受のさらなる低トルク化が求められています。このため、潤滑剤の粘度を下げる、あるいは潤滑剤の封入量を減らすといった手段が有効ですが、それらの方法は様々な表面損傷の原因となり得るため、軸受内に生じる油膜厚さを高精度に測定する方法が必要でした。

今回、従来の電気インピーダンス法※2を改良し、EHD接触※3域における膜厚を、一般に広く使用されている光干渉法と同等な精度で測定でき、さらに破断率も同時に測定できる手法を開発しました。本受賞研究では、転がり軸受で広く用いられているグリース潤滑に着目し、開発した技術を用いて、低速度域におけるグリース潤滑のメカニズムを解明しました。

今後、様々な条件下において、転がり軸受の潤滑メカニズムを解明し、低トルクと長寿命を両立する転がり軸受の実現に貢献することが期待されています。

  • ※2:電気インピーダンス法:交流回路における電圧と電流の比(=インピーダンス)を用いて、相対する二面間のギャップを測定する方法
  • ※3:EHD(ElastoHydroDynamic)接触: 接触面の弾性変形が無視できない接触状態

NSKについて

NSKは、1916年に日本で最初の軸受(ベアリング)を生産して以来、100年にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきました。1960年代初頭から海外に進出し、現在では30ヶ国に拠点を設け、軸受の分野で世界第3位、また電動パワーステアリング、ボールねじなどにおいても世界をリードしています。

企業理念として、MOTION & CONTROL™ を通じて円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めることを掲げています。2026年に向けてNSKビジョン2026「あたらしい動きをつくる。」を掲げ、世の中の期待に応える価値を協創し、社会への貢献と企業の発展の両立を目指していきます。