釣具ベイトリール用「超低摩擦ローラクラッチ」を開発

~ リールの操作性向上に貢献 ~

NSKは、空転時の摩擦を90%低減させたローラクラッチ*1の開発に成功しました。釣具リールなどに使用されており、操作性や巻き心地が向上しています。NSKは本製品により2012年に1億円/年の売上げを目指します。

*1 ローラクラッチ: リールを巻き取る際の逆転防止機構に使用。リールを巻き取る際にはローラが空転し、逆に糸を引き出す際には、ローラが外輪のクサビ面に入り込み、軸と外輪が一体となることで一方向にだけ確実にロックする。

釣具ベイトリール用「超低摩擦ローラクラッチ」

【開発の背景】

本格志向の釣り愛好家は、ルアー(疑似餌)を微妙にコントロールするため、リールを巻き取る際に、軽いタッチで遊びが少なくダイレクトな操作感を求めています。また、近年釣りを楽しむ女性が増えており、リールに軽い巻き取りフィーリングを求めています。このためリール用ローラクラッチには、ローラクラッチが空転する際に発生する負荷抵抗(空転摩擦)を低減するニーズが高まっています。

【製品の特長】

空転時の摩擦を「従来品比90%低減」
本製品は、ローラクラッチのスプリングを片持ち形状とし、スプリング板厚、幅、高さを最適化することで、十分なバネストロークを確保した上で、リール巻き取り時の負荷抵抗となるバネ力を低減しました。本製品の採用により、軽い力で巻け、更には、魚の食いつきによるリールの軽微な糸引き(当たり)を確実なロック機能によりキャッチします。
優れた防錆性能
外輪ところに防錆処理を施し、スプリングにはステンレス鋼を使うことで、洋上や海岸など厳しい使用環境下においても信頼性を確保しています。
リール製造工程での組立ての簡素化に貢献
外輪の外径に特殊な溝形状を設けることで、ハウジングに軽く圧入するだけで回り止めが可能となっています。これにより、リール製造時の組立ての簡素化も可能としています。

釣具リール 構造図

釣具リール 構造図

リール ハンドルの逆転防止機構に「ローラクラッチ」を使用。

  • リールを巻き取るためにハンドルを回すと「ローラクラッチ」は空転し、軸がギヤを回転させ、糸を巻いているスプール(糸車)が回る。
  • 魚が掛かって糸が引張られると、「ローラクラッチ」がロックすることで、糸の引き出しを防止(制御)すると共に、ハンドルの逆転も防止する。

空転トルク低減

空転トルク低減

まとめ

  • スプリング形状の最適化により空転時の超低トルク化を実現
  • 材料、表面処理の最適化により優れた防錆性能を実現
  • 外輪外径面に特殊な溝形状を成形することで、軽く圧入するだけで回り止めを実現
  • 保持器形状の改良と専用グリース使用により、確実なロック性能を実現
釣具リールの操作性向上と高性能化に貢献し、2015年に1億円の売上

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