リコンディショニングに対応した高負荷容量大形円すいころ軸受

2026年3月
産業機械技術総合開発センター
PLM技術部

1. 開発の背景

世界的な都市化の進行に伴い、鉄鉱石や石炭などの鉱物資源の生産量が増加する中、大量のエネルギーを消費する採掘現場では、カーボンニュートラルに向けた取組みが急務となっています。具体的には、設備の稼働率向上、機械の電動化、設備構成部品の再利用など、省エネ・CO2削減のための取組みが行われています。

その中でも設備構成部品の再利用は、鉱山現場で使用されている設備が24時間稼働し、過酷な条件(重荷重・振動など)で運転されているため、定期的なメンテナンスを行い運用していくうえで、重要性の高い取組みの一つです。

例えば、ダンプトラックや粉砕機などメンテナンスは図1に示すようなフローと周期で行われており、各部品(シャフト、ギアなど)は既にリコンディショニングが行われています。一方で軸受については、現行品はリコンディショニングが出来ず、メンテナンス時に全数廃棄・交換されています。そのため、市場ではリコンディショニングに対応可能な大形円すいころ軸受が求められていました。

図1 鉱山設備のメンテナンスフローとメンテナンス周期

図1 鉱山設備のメンテナンスフローとメンテナンス周期

2. 開発軸受の特長

リコンディショニングに対応した高負荷容量大形円すいころ軸受の構造(図2)及び特徴を以下に示します。

図2 開発品の構造

図2 開発品の構造

特徴①「長寿命化(高負荷容量化)」により長期使用が可能

「NSK Micro-UT™法を用いた高精度寿命予測*1」(プレスリリース:https://www.nsk.com/jp-ja/company/news/2024/nsk-extends-basic-rating-life-estimated-life-of-rolling-bearings/)の適用により、高負荷容量設計を可能にし、軸受定格疲れ寿命を最大2倍に延長しました。

*1:鋼材中の非金属介在物の大きさや量(統計データ)から転がり軸受のはくり寿命を高精度に予測する技術(特許出願済み)

 

特徴②「分離構造化」により全部品の詳細点検が可能

円すいころ軸受では、「小つば」「大つば」と呼ばれる内輪の縁部分でころを案内しており、現行品では、外輪以外の部品の分離が困難な構造でした。本開発品は、「小つば」を内輪から切り離してボルトで締結。小つばを取り外し可能な構造にすることにより、ころ・保持器と内輪の分離を可能にし、全部品の詳細点検が可能な仕様(図3)を実現しました。

図3 開発品の特徴②(分離構造化)

図3 開発品の特徴②(分離構造化)

特徴③「脱落防止構造」により振動下での信頼性向上

分離型小つばの「脱落防止構造(かしめ構造)」(図4)により、締結ボルトの脱落を防止し鉱山現場など振動が作用する使用環境での信頼性を向上しました。

図4 開発品の特徴③(脱落防止構造)

図4 開発品の特徴③(脱落防止構造)

3. 用途

鉱山機械のメンテナンスにおいて、既にリコンデショニング対応が行われているダンプトラックや粉砕機(図5)への適用が挙げられます。

図5 鉱山機械に使用される軸受

図5 鉱山機械に使用される軸受

4. まとめ

開発品の特徴から導入メリットを表1に示します。本開発品は、軸受全部品の詳細点検を可能としたことで、設備メンテナンス毎に軸受内部の異常有無を確認でき、必要に応じてリコンディショニングや使用条件の改善と組合せて再使用によるメンテナンスコスト削減やCO2排出量削減(プレスリリース:https://www.nsk.com/jp-ja/company/news/2025/cfp/)が期待できます。 

表1 開発品の納入メリット

表1 開発品の納入メリット

*2:NSK調べ

<背景情報>

オーストラリア鉱山のダンプトラックのホイールに、本開発品を使用した場合のCO2排出量削減効果を試算

  • 総使用期間:60,000 h
  • 設備メンテナンス回数:2回(30,000 h毎に1回)
  • 現行品は、設備メンテナンスごとに廃棄・交換
  • 開発品は、設備メンテナンス1回目で再利用、2回目で廃棄・交換を想定

また、NSKは、PLM*3モデル(図6)の確立に取り組んでおり、本開発品は、PLMモデルのリコンディショニングを実現する主要製品として位置付けられています(プレスリリース:https://www.nsk.com/jp-ja/company/news/2025/product-life-cycle/)。

*3:Product Lifecycle Managementの略、製品のライフサイクルを管理すること。

図6 PLMモデル

図6 PLMモデル