品質マネジメント
基本的な考え方
NSKグループは、品質をコアバリューの一つと位置づけ、製品やサービス、提供する情報を含め全ての品質を業界でNo.1にすること、即ち「Total Quality No.1」を実現することで、世界中のお客様に喜ばれるモノづくりを目指します。
品質保証ビジョン2036「品質で世界中の期待を超える」に向け、「NSK品質保証の三本柱」に基づいた活動に取り組んでいきます。
◆NSK品質保証の三本柱
◆品質保証ビジョン2036
NSKは「品質で世界中の期待を超える」を品質保証活動のスローガンとして掲げ、従来の製品品質保証を中心とした活動から、サービスを含めた総合的な品質マネジメントへの発展を目指しています。
Vision2036では、品質を「製品の出来栄え」ではなく、「社会や顧客のニーズを満たす度合い」と定義し、「Total Quality No.1」というブランド価値の実現を目指します。また、品質保証活動については以下の基本方針を継続します。
- 顧客視点・社会要請を重視した品質保証への転換
- 品質KGI達成を支える品質保証活動の推進
- NPDS(設計品質)、NQ1(製造品質)、基盤づくりの三本柱による活動展開
- グローバル品質保証体制の強化
- 品質リスクマネジメントと品質改善活動の一体運営
体制
◆品質保証体制
NSKグループは、サステナビリティ・コアバリュー委員会を設立し、コアバリュー(安全・品質・環境・コンプライアンス)の推進・強化のため、方針の議論や関連リスクの共有を通して全社的課題を設定し、それらの解決に向けた提言と進捗のモニタリングを行っています。
また、品質マネジメントのグローバルな統括部門として品質保証本部を置くとともに、サステナビリティ・コアバリュー委員会の下部組織として各事業本部内に品質協議会を設置し、生産・販売・技術の各部門が連携しながら品質向上のための取り組みを進めています。品質保証本部は、毎月開催されるオフィサーズ・ミーティングでグループ全体の品質管理状況について経営層に報告を行っています。
さらに、韓国、米州、欧州、中国、アセアン・オセアニア、インドに各地域を統括する地域品質保証部を設置し、全地域が主体的な品質活動を可能とし、それぞれの国や地域のお客様の視点を最優先としてグローバルな品質保証体制を推進しています。
これらグローバル協業体制の強化を目的とし、グローバル会議(年2回)や地域品質会議(各地域年2回)を定期的に開催しており、各地域でのモニタリング、監査およびサポート体制の強化に取り組んでおります。
グローバル協業体制
- 海外地域品質保証部との共同運営
- 重点施策ごとの海外チャンピオン制度(海外QAとの協業運営)の導入
- グローバルCFT(Cross Functional Team)による品質改善活動の推進
品質協議会
グローバル品質保証体制
目標と実績
◆品質実績
重大な品質事故件数
- FY23 実績:0件
- FY24実績:0件
- FY25実績:0件
- FY26目標:0件
◆中期経営計画2026(MTP2026)目標、各年度の目標と実績
| 方針 | NPDS活動の推進(NSK Product Development System) -お客様の新規案件を、迅速、確実に安定⽣産に結びつけるためのNSK独⾃の品質管理システム- | NQ1活動の推進(NSK Quality No.1) -不良「ゼロ」の安定⽣産を目指した活動- | 人づくり -品質づくりを支える人材育成- | |
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| MTP2026 | 目標 |
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| 2025年度 | 目標 |
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| 実績 |
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※FMEA: 設計・製造上の潜在的な故障モードを特定し、影響度を評価して対策を講じるための手法
◆中期経営計画2028(MTP2028)目標、各年度の目標と実績
| 方針 | NPDS活動の推進(NSK Product Development System) -お客様の新規案件を、迅速、確実に安定⽣産に結びつけるためのNSK独⾃の品質管理システム- | NQ1活動の推進(NSK Quality No.1) -不良「ゼロ」の安定⽣産を目指した活動- | 基盤づくり(人づくり) -品質づくりを支える人材育成- | |
|---|---|---|---|---|
| MTP2028 | 目標 |
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| 2026年度 | 目標 |
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品質向上に向けた取り組み
NSKグループでは、市場・お客様第一の品質確保を行うため、設計品質、製造品質、サプライヤー品質の一気通貫した品質向上活動に取り組んでいます。
下の4つの指針のもと、一丸となった品質のつくりこみを実現します。
◆市場品質を高める取り組み
NSKグループは、モノづくりのメーカーとして、NSK製品を直接使用するお客様だけでなく、社会からの期待にも応える品質づくりを目指しています。このため、お客様が求める基準を満たすことに留まらず、NSK製品が組み込まれた製品を使用する最終ユーザーの視点でニーズを的確に把握し、社会が求める品質を満たした製品・サービスをお客様に提案していくための体制構築を目指しています。
顧客管理データベースの構築
NSKグループは、お客様のご要望に的確にお応えするため、設計に関する技術サポートや製品の使用に関するノウハウの提供などを行っています。また、顧客ニーズや市場品質情報、お客様からのご要望への対応履歴などを蓄積したデータベースを構築し、一元管理することで、顧客満足度向上と市場不具合の未然防止に活用しています。また、顧客満足度を新たな品質KGIとして取り込み、市場からの評価を品質改善活動へ反映します。各国・地域からの情報を集約することで、製品やサービスの向上につなげています。
◆設計品質を高める取り組み
設計段階での品質を向上させるため、市場のお客様の声を設計に反映させています。お客様の要求を満たした「基本の品質」に、NSKグループが長年培ったノウハウや市場における経験に基づいた「ねらいの品質」を加味することで、より高いレベルの製品の設計に努めています。
品質をプロセスでつくりこむ「NPDS(NSK Product Development System)」活動
NSKグループは、新規案件における品質100%確保を目標に、NSK独自の品質管理システム「NPDS」をグローバルに展開しています。新規案件に迅速かつ確実に対応し、お客様にご満足いただける製品を量産するため、開発プロセス全体で品質を作り込む活動を推進しています。製品企画から開発・設計、試作、量産までの各プロセスで、設計段階でのリスク抽出と未然防止を徹底し、設計起因不具合ゼロを目指します。また、量産体制に入ってからも、高い品質を安定的に維持するための管理を徹底しています。
NPDSの概要
開発製品におけるデザインレビューの品質向上教育
新規開発案件の製品品質を向上させるため、NSKグループではデザインレビュー(Design Review=DR)を行う社内のDRエキスパート制度を設け、グローバルにデザインレビューの質を向上させる施策に取り組んでいます。これらのエキスパートによって設計段階から量産段階まで製品の品質に関する課題の洗い出しを行い、問題発生の未然防止を図っています。また、NSK開発製品のデザインレビューの内容充実とともに、知識・経験豊富なエキスパートにより、①お客様の要求を把握したロバスト設計※提案、②4M重視の製造工程の構築、安定生産、
③技術の伝承、若手エンジニアの教育の場の開発を目指しています。
デザインレビューの底上げのためには、レビューに必要な資料やデータの事前準備が重要であり、DRの前に参加者全員が内容を把握することで、効率良く充実した審議を行うことができます。NSKではDRエキスパートと設計開発者が直接話し合いを行う場を増やし、個々の技術レベルの向上と各DRのステップに必要な技術資料の充実に取り組んでいます。また、各DRステップでの最適評価とフィードバックを行うことで、DRの質向上に伴う開発案件の品質向上に取り組みます。
※ ロバスト設計:様々な使用条件や要求特性をカバーできる設計
事例:新規開発における品質保証
設計品質を高める取り組み事例として、2025年度に量産開発を完了した「食用油劣化抑制フィルター」を紹介します。
こちらはNSKの得意とする軸受の潤滑油を劣化させない技術を応用して実現しました。市場課題である食用油の長寿命化に着目し、食用油劣化抑制フィルターを開発しました。この製品の品質を保証するために、食品用途として安全性が確認された材料の選定や、耐酸化性評価を行ってきました。また長時間循環ろ過試験により性能検証を行い、結果として食用油寿命の延長、廃油削減、作業負荷軽減を実現し、「超モノづくり部品大賞 日本力(にっぽんぶらんど)賞」の受賞に至りました。
◆製造品質を高める取り組み
お客様の求める品質を製品として形にし、安定して社会に提供していくための取り組みを進めています。
「4M」-Man(人材)、Machine(設備)、Material(材料)、Method(手法)- を重視した製造工程を構築し、製品の品質向上を目指しています。
4Mの重点課題
品質検査による製品保証
お客様が安心して製品をお使いいただけるよう、NSKグループでは品質検査を通じて製品保証を確実に実施し、不具合品を流出させないことを目的とした品質管理の維持・強化に取り組んでいます。検査には外観検査と機能検査があり、製造における受入~出荷までの節目で検査を行うことで、不良品の流出防止を図っています。
検査の自動化を継続推進し、さらに良否判定にAIを活用することで工程保証度の強化と高効率化を目指していきます。
データ活用による品質不具合の未然防止
NSKではグローバルの全工場を対象とした熱処理コックピット化を推進しています。これにより熱処理炉の稼働状況を常時監視することができ、そこから得られるビッグデータを管理することで、熱処理不具合の未然防止を目指します。国内全工場で設備のIoT化が完了し、ビッグデータの蓄積および監視運用を開始しています。今後は海外工場への導入を進めます。
また、お客様への製品安全性の提供として、CMS(Condition Monitoring System)という異常検知システムの開発を進めています。CMSは故障時のリスクが高く、また使用環境にてメンテナンスや検査を実施することが困難な製品を扱うお客様に対する品質確保と不良の未然防止を目指した、異常検知システムであり、軸受動作時の振動を検出し、その振動診断を行うことで異常兆候の検知を可能とし、お客様に安心して製品を使用いただくことを目指しています。
グローバル品質改善活動とその展開
NSKグループでは、グローバル全生産拠点の品質マネジメント状況を毎月モニタリングしています。品質改善活動として全生産拠点を対象とした不良ゼロ活動、再発防止活動、品質道場活動などに取り組み、品質保証本部では各活動に表彰制度を導入し、活動の活性化を目指しています。また、品質面において特に優れた実績をあげた生産拠点を優秀工場と位置づけ、工場の特性や運営面での取り組みなどを分析して、他の生産拠点への水平展開を進めています。
さらにグローバルでの体制強化と、主体的な活動促進のため、重点活動ごとの海外チャンピオン制度を導入しています。これにより、今まで以上に海外QAの役割の明確化に伴い、連携強化、グローバルCFT(Cross Functional Team)による改善活動の推進と展開を行っていきます。
品質教育
NSKグループでは、コアバリューの一つである品質に関して、継続的な意識と知識の向上を目指し、全従業員を対象とした品質教育を毎年行っています。
NSKの品質教育は品質保証本部が全体の構成を設計しています。本社人事部門、NIT※などが従業員の所属部門や階層に応じて開催する集合教育の中で、適切な品質教育を行っています。
加えて、2019年度より工場と技術部に品質道場を整備し、そこで毎年定期的な品質教育も実施しています。
《教育内容》
- 新入社員や管理職に対する役職に応じた階層別品質教育
- 実際の事例や製品に触れることができる品質道場教育
- 全社員に向けたeラーニングを用いたデジタル品質教育
機能別・階層別品質教育
※NIT(NSK Institute of Technology): 製品の用途・取り扱い、品質管理、製造法、コストなど総合的な技術教育を行う、学部制、単位認定制の教育機関。NSKおよびNSKグループ技術部門の社員に対する教育組織として2007年に設立され、技術面からNSKの競争力を支える高度技術人材の育成を目指しています。
品質道場※教育
品質教育は、“意識→知識→技術・技能”の順で学ぶことが重要であると考えています。人に起因する不良品の発生を撲滅することを目指し、全世界の生産工場57拠点と技術センター8拠点に品質道場を設置しています。品質道場では品質の重要性を説明し、意識を醸成するとともに、実際の製品や不具合品に直接触れることで製品知識および品質知識を得ることができます。生産工場では、品質道場教育活動を過去5年間にわたり継続的に推進し、「一人あたり年2回以上の教育実施」を目標に取り組んできました。FY26より教育方針と目標を刷新しています。
教育には、量と質を確保し、それを継続することで文化とすることが重要です。これまで量×継続性の考え方を元に品質道場を展開し、実現してきました。新たな方針では、「質×継続」の考え方を掲げ、一人あたり年1回以上の階層別教育を実施します。従来の一律的な教育から、各階層の役割やニーズに応じた教育プログラムへと進化させることで、実務に直結した学びを提供します。
今後も、一人ひとりが品質について考え続け、より高い品質文化を育むための教育活動を推進し、Total Quality No.1を実現していきます。また、毎年実施している社内独自の「品質道場三ツ星評価」を通じて、各拠点の品質道場活動を客観的に評価しています。出来栄えを確認するだけでなく、さらなる改善点の明確化や、師範・師範代の育成意欲向上にもつなげることで、品質教育の継続的なレベルアップを推進しています。
※ 全道場にて師範と師範代を選任し、教育内容の充実・更新、講師の育成や教育計画の策定まで、道場の総合管理を行い運営しています。
品質道場三ツ星評価 認定証のサンプル
中国生産工場 :品質道場ロボット講師導入
中国技術センター:対面教育
ブラジル技術センター:2026年品質道場竣工
◆サプライヤー品質を高める取り組み
高品質な製品には、高品質な部品や材料、油脂類などが必要不可欠です。NSKグループでは、サプライヤーの皆様との信頼関係をベースに品質を高める取り組みを進めています。品質保証本部が主体となり、サプライヤーの皆様の品質状況の見える化、改善課題の立案、および受入工場との共同による品質向上活動に取り組んでいます。
≪主な取り組み≫
| 方針 | 内容 |
|---|---|
| サプライヤー向け品質活動方針説明 | 主要なサプライヤーの皆様向け「調達方針説明会」にて、NSKの品質活動方針を共有し、品質コンプライアンスや品質改善の取り組み事例などについて指導・説明 (毎年) 2026年5月に開催した調達方針説明会では、80社が参加 |
| サプライヤー品質の現状把握と見える化 | 納入受入や工場ラインで発生したサプライヤー起因の品質問題の状況を、トレンドグラフやレーダーチャートなどで可視化 |
| サプライヤー品質問題管理システムの開発 |
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| サプライヤー品質問題の月次報告 |
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| サプライヤー監査の実施 |
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| サプライヤーへのQRA監査 QRA: Quality Risk Assessment |
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サプライヤー品質意識向上活動
サプライチェーン全体の品質力向上を目指し、NSKではサプライヤー品質道場活動を推進しています。
各生産工場では、事業・品質・技術の重要度を踏まえて対象サプライヤーを選定し、品質道場へ招待しています。
実践的な教育を通じて品質理念を共有するとともに、サプライヤー品質が市場やお客様へ与える影響について理解を深めていただくことで、お客様視点に立った品質意識の醸成を図っています。
2026年度は、グローバルで100社を超えるサプライヤーへの教育を予定しており、サプライヤーとともにサプライチェーン全体の品質競争力強化に取り組んでいます。
その他の取り組み
◆監査機能の強化
品質保証本部にあるグローバル品質監査室は、「品質管理上のコンプライアンス遵守状況や潜在リスクを確認し、潜在的な問題の未然防止策を実施する」ことが役割であり、第三者的な視線で監査を実施しています。監査部門は単なる監視機能ではなく、現場への伴走・助言機能を重視し、自律的な品質改善を促進します。監査を通じて品質ガバナンス強化と継続的改善を推進します。
また、他社のリコール情報、不正情報は常に情報を収集し、自分事として捉え、必要な情報展開と未然防止活動の展開を進めています。
◆品質マネジメントシステム
◆製品不具合発生時の対応
NSKは、お客様に製品を安全にご使用していただくための技術情報や取り扱い上の注意事項を提供するとともに、お客様のご要望やお困りごとを受け対応する仕組みを整えています。これらに対して、社内ルールを定め、対応を実施し、また各国の法律や顧客の個別要求にこたえることができるよう、部署間連携体制を構築しています。品質に最善を尽くしていますが、万が一、製品・サービスの不具合が発生した場合には、情報をお客様へ速やかにお伝えするとともに、品質リスクマネジメント体制を中心として、残余リスク管理とインシデント対応を一体的に運営し、再発防止と顧客影響の最小化を図ります。