2021年11月29日

エンジニアとつくるあたらしい企業広告 ~後編~

NSKは、2020年に「___ with Motion & Control」として企業広告をリニューアルしました。広告制作にはNSKのエンジニアが参画し、NSKの製品や技術を使った機構を用いて、今までなかった「動き」をつくることにチャレンジしました。
広告を通して、NSKが「あたらしい動きをつくる。」企業であることを伝えていきます。

2020年に発表したRunning篇は、NSKのベアリングを用いた機構で、走り抜けていく人の足跡をなぞるような動きをつくり出しました。

同年に電車内モニターで放映した広告映像は、(株)ジェイアール東日本企画が主催する「交通広告グランプリ2021」において「車両デジタルメディア部門」優秀作品賞を受賞。

そして、今年11月に、第二作目となるConnecting篇が完成しました。デザインファームと協業しながら、今年もエンジニア参加型で企業広告を制作しました。本プロジェクトに参画したメンバーに話を聞きました。前編、後編の2本に分けて、メンバー8人の想いを紹介します。

プロフィール

勝田 早紀

勝田 早紀

産業機械技術総合センター
E&E 軸受技術センター

山本 健介

山本 健介

CMS開発センター

 藤田 さらら

藤田 さらら

生産技術センター
成形技術開発部

近藤 大介

近藤 大介

新領域商品開発センター
技術開発第一部
副主務

Connectingという言葉に込めた想い

機構の動きのアイデアを出し合い、候補をある程度絞った段階で、この動きを表すにはどのような動詞が合うかを検討しました。Connectingに込めた想いとは?

Connecting with Motion & Control

勝田 「Connecting」(つなぐ)のほかには、転がすや昇るなどの動詞が候補として挙がりました。それぞれの動詞に対して、どんなメッセージを込められるか、会社が目指す方向性に合っているか、英語としても分かりやすいかなどを掘り下げていきました。度重なる検討を経て、最終的に「Connecting」に決定しました。「Connecting」に込めた想いは大きく二つあります。一つは、人の想いをつなぐというものです。こんな製品をつくりたい、こんな世の中にしていきたいという、さまざまな人の想いを実現につなげていくという想いを込めました。もう一つは、未来へつなぐという想いです。NSKの技術で世の中を動かしていく、ありたい姿へつなげていくという意味での「Connecting」です。また、世界全体が新しい生活様式を求められる中、プロジェクトのメンバー皆、人のつながりの大切さを感じていたので、人と人のつながりも連想でき、いまに合っているというポイントも決め手でした。機構のボールのタイミングが合わなかったり、ボールが勢いよく飛び出してしまったり、失敗を繰り返し、最後にやっと全部がつながったときに、まさにConnectingだなと感じました。社内のさまざまな部署や協業会社の方々などいろいろな人の想いがつながり、広告の完成にこぎつけることができたと思います。

勝田 早紀

会社の広告をつくるという今までにない経験で得たもの

日頃は、製品や技術の開発を行っているメンバーたち。数カ月にわたる今回のプロジェクトは、メンバーにどんな気付きを与えたのでしょうか。

山本 企業広告は、ターゲットや伝えたいメッセージが決まってはいるものの、その表現方法としては自由度が高く、幅広いことができる中で、NSKの想いをどのように映像に落とし込むかが難しかったです。映像としてインパクトがあるものにした場合、NSKらしさが伝わりづらくならないか、NSKらしさを重視しすぎた場合、映像として魅力がないものになるのでは、というそれぞれの問題があり、想いと映像のバランスを取ることに悩みました。私は、新規事業である状態監視や診断ソフトウェアを担当する部署で、製品開発のほか、展示会やWebサイトを通しての技術の発信方法を日頃から検討していることもあり、特に議論の方法で勉強になることが多かったです。「なんとなくこれが良さそう」という感覚的なものではなく、論理的に「どこがどういいのか」という点をチーム全員で忖度なくとことん議論できたことによって、スピード感を持ちつつも、チームとしてうまく進んだと思います。そういったチームづくりを新製品開発の業務でも実現できるように努めていきたいです。また、強い想いがある時こそ、想いやNSKの視点だけで物事を考えるのではなく、受け手の立場に立って、一歩外に出て見てみることが重要だと改めて感じることができました。

 山本 健介
藤田 さらら

藤田 私は、普段は、高周波熱処理技術の解析業務を担当しています。今回のプロジェクトでも、機構を製作する前の段階でシミュレーションを用いた検討が行われ、開発サイクルの向上につながったと思います。そういった点で製品技術の開発と企業広告の制作という全く違う施策における共通点を感じました。
企業広告は、社内のメンバーや、協業会社、パーツの製作委託先など本当に多くの人が関わってできるものなのだと感じました。しっかりと話し合いをしながら進めていったことにより、多様なメンバーそれぞれの価値観を理解しつつ、方向性を固めながら、一つのゴールに向かうことができたと思います。また、機構を検討している際に、ただ美しいとか興味を惹かれるということだけではなく、社会の状況や会社の方向性を反映させたメッセージ性のある候補がたくさん挙がっており、それについて皆で議論できたところがこのプロジェクトのポイントでもあり、NSKとしての「あたらしい動き」であると感じました。今後も、会社として対外的に出すメッセージや、業務を通じてどのように社会に貢献できるのかということを自分で考えながら、マクロな視点を持って業務に取り組んでいきたいと思います。

近藤 このプロジェクトは「あたらしい動き」をつくる感覚を取り戻すチャンスになったと思っています。現代の仕事は専門化、細分化されていて大きなプロジェクトの一部分を担うことがほとんどです。そこにはクリエイティビティよりも全体からの要求に対する「正解」を出していくことが求められます。一方、今回は「かっこいい広告をつくる」というある意味で「正解のない」ゴールに向かって右脳と左脳をフル回転させて挑みました。自分たちの伝えたいことはなんだろうか、それを人に伝えるにはどうしたらよいだろうか。主観と客観の間でバランスをとりながら、自分たちの信じた言葉が実際の作品として実現されていく過程に参加した体験はとても刺激的でした。近藤このプロジェクトは「あたらしい動き」をつくる感覚を取り戻すチャンスになったと思っています。現代の仕事は専門化、細分化されていて大きなプロジェクトの一部分を担うことがほとんどです。そこにはクリエイティビティよりも全体からの要求に対する「正解」を出していくことが求められます。一方、今回は「かっこいい広告をつくる」というある意味で「正解のない」ゴールに向かって右脳と左脳をフル回転させて挑みました。自分たちの伝えたいことはなんだろうか、それを人に伝えるにはどうしたらよいだろうか。主観と客観の間でバランスをとりながら、自分たちの信じた言葉が実際の作品として実現されていく過程に参加した体験はとても刺激的でした。

近藤 大介

他の4人のメンバーがアイデア出しの苦労や広告に使ったNSK製品について紹介している「エンジニアとつくるあたらしい企業広告 ~前編~」もぜひお読みください!