日本精工株式会社(本社:東京都品川区、代表者:取締役 代表執行役社長 内山 俊弘、以下NSK)は、自動車のオートマチックトランスミッション(以下AT)や無段変速機(以下CVT)などの変速機(トランスミッション:以下 T/M)向けに「固体潤滑被膜付き軸受」を開発しました。本製品は、トランスミッションケース(ハウジング)内で軸受の外輪が回転する“クリープ”と呼ばれる現象による摩耗を抑制し、自動車の信頼性向上に貢献します。NSKは、本製品の売上として2020年に20億円を目指します。
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プレスリリース
2016年09月01日
日本精工株式会社 CSR本部 広報部
~自動車の省燃費・信頼性向上に貢献~
日本精工株式会社(本社:東京都品川区、代表者:取締役 代表執行役社長 内山 俊弘、以下NSK)は、自動車のオートマチックトランスミッション(以下AT)や無段変速機(以下CVT)などの変速機(トランスミッション:以下 T/M)向けに「固体潤滑被膜付き軸受」を開発しました。本製品は、トランスミッションケース(ハウジング)内で軸受の外輪が回転する“クリープ”と呼ばれる現象による摩耗を抑制し、自動車の信頼性向上に貢献します。NSKは、本製品の売上として2020年に20億円を目指します。
近年、自動車の燃費向上を目的として、ATやCVTなどのT/Mの小型・軽量化に対する要求が厳しくなっており、T/Mのハウジングや軸受の薄肉化が進んでいます。そのため、ハウジングが変形し、ハウジングと軸受の間にすきまが生じることや軸受の外輪が変形することで、本来回転しないはずの外輪が回転する“クリープ"と呼ばれる現象が発生します。クリープが発生するとハウジングが摩耗します。
クリープによりハウジングが摩耗すると、T/Mの振動増大、回転不良や摩耗粉の発生によるT/M内部品の機能低下を引き起こす場合があり、自動車の信頼性や快適性を低下させます。
クリープを防止するために、一般的には軸受をハウジングに機械的に固定する、Oリングを取付ける、外輪の肉厚を厚くする等の対策が取られますが、コスト増大、サイズ増大、軸受の組付け性悪化が課題でした。
そのため、クリープが発生しても、ハウジングを摩耗させない製品の開発が必要でした。
本開発品は、外輪外径面に低摩擦な固体潤滑被膜をコーティングし、軸受とハウジング間の摩擦係数を低減することで、固定輪である外輪が回転した場合でも、ハウジングの摩耗を抑制することが可能です。外輪外径部に被膜を塗布するだけで摩耗が防止出来るため、軸受のサイズUPや軸受周辺構造の変更を必要とせず、組付け性にも優れています。
固体潤滑被膜は、軸受母材表面に処理された下地と、下地の上に塗布された焼成膜(樹脂バインダー、固体潤滑剤、摩擦摩耗調整剤)で構成されています。従来の固体潤滑被膜は、歯車やバルブなど軸受以外の製品でも使用されていますが、耐摩耗性(はがれ性)、高温焼成処理、コストによる軸受母材の性能低下が課題でした。本製品は、それらの課題を解決するため、以下の特長を有しています。
本製品は、軸受寸法の増大を必要とせず、クリープによるT/M用ハウジングの摩耗を防ぎ、自動車の省燃費・信頼性向上に貢献します。