Press Release

(社)日本トライボロジー学会から受賞について

日本精工株式会社(本社:東京都品川区、代表者:取締役 代表執行役社長 内山 俊弘、以下NSK)は、一般社団法人日本トライボロジー学会*1より「2015年度 日本トライボロジー学会 技術賞」を受賞しました。今回の受賞は、独創性など優れた研究成果が認められ、今後の社会貢献が期待できることが評価されたものです。

(社)日本トライボロジー学会から受賞
*:(社)日本トライボロジー学会:

1956年にトライボロジー(相対運動しながら互いに影響を及ぼしあう二つの表面の間におこるすべての現象を対象とする科学技術)に関する技術の向上を目的に設立された。

2015年度 日本トライボロジー学会 技術賞

(1) 受賞対象:「自動車ハブユニット軸受用耐水グリース技術」

自動車ホイール用ハブユニット軸受はタイヤの回転を路面近くで支える重要部品として高い信頼性が求められますが、新興国市場の拡大に伴い、雨季などの過酷な路面環境下で、想定した1/10程度に満たない走行距離で損傷が生じ、異音などにより走行不良になる問題が発生しています。この損傷は、軸受内部ヘの水浸入に起因する早期はく離(以下水混入はく離とする)であり、その対策が喫緊の課題となっていました。水混入はく離への対策として、従来は密封性の高いシールにより軸受内部に水を浸入させない手法が取られてきましたが、シール性能向上と、フリクションの抑制との両立が課題となっていました。

今回発想を転換して、協同油脂株式会社(神奈川県藤沢市、代表取締役社長 山﨑 雅彦)と共同で軸受内部に浸入した水をグリースで無害化する対策に取り組んだ結果、水を分離する技術と水を接触させない技術の2つのグリース技術により水混入はく離の発生を抑制できることを見出しました。本技術を基に開発した耐水グリースは、水混入はく離軸受耐久評価で従来比約3倍の寿命延長効果を実現し、シールは変更せずグリースの変更のみで水混入はく離を抑制することを可能としました。NSKは本技術によりハブユニット軸受の信頼性を向上させ広く社会に貢献します。

(2) 受賞者
  • 外尾 道太 (ほかお みちた) 日本精工株式会社
  • 稲見 宣行 (いなみ のりゆき) 日本精工株式会社
  • 宮川 貴之 (みやがわ たかゆき) 日本精工株式会社
(3) 共同受賞者
  • 並木 実 (なみき みのる) 協同油脂株式会社

NSKは世界トップレベルの技術力によって、摩擦をコントロールし、機械のエネルギー損失の低減や信頼性向上を可能にしています。今後も安全・快適・環境にやさしい社会の実現、産業の発達、機械の進歩に大きく貢献していきます。