Press Release

ドライオイルフリー圧縮機向け「高速アンギュラ玉軸受」を開発

~L-PPS樹脂保持器を採用して低振動、低トルクを実現~

高速アンギュラ玉軸受

日本精工株式会社(本社:東京都品川区、代表者:取締役 代表執行役社長 大塚 紀男、以下NSK)は、主に食品、医薬品、半導体製造等に用いられるドライオイルフリー圧縮機向け「高速アンギュラ玉軸受」を開発しました。

NSKは、本製品の売上として2016年度に5億円/年の売上を目指します。

【開発の背景】

ドライオイルフリー式圧縮機は、圧縮工程で油を噴射せず圧縮を行うため、吐出空気中に油分が一切含まれない圧縮機です。このため、油分の混入を嫌う製品や環境での採用が増えています。

しかし、油を使用しない構造のため、給油式圧縮機と同等の効率を得るには約3~5倍の高速回転で運転する必要があり、騒音・振動や消費電力などの低減が要求されています。今回、この要求に応えるために、NSK独自の保持器材料L-PPS樹脂*を採用した高速アンギュラ玉軸受を開発し、低トルクと低振動を実現しました。

*: 直鎖型ポリフェニレンサルファイドは、高強度で耐熱性にも優れた樹脂。

開発の背景
開発軸受特長;保持器仕様

【製品の特長】

(1) 従来品に比べて軸受の振動を最大40%低減
高速回転時に発生する保持器振動は、軸受振動の主な要因です。本開発品は、以下の改良により 保持器振動を大幅に低減しました。
  • L-PPS樹脂の採用により従来の銅合金保持器に比べ大幅な軽量化を実現。
  • 金属を切削加工した保持器と同等レベルの寸法精度を実現。
  • 保持器外径面に特殊みぞを設けて案内輪との潤滑性を向上。
(2) 従来品に比べて軸受の摩擦損失(トルク)を最大30%低減
保持器と外輪の案内面に生ずるすべりは、軸受の摩擦損失(トルク)の大きな要因となっています。
本開発軸受は、外輪の案内面の面積を半減させ、更に保持器の質量を大幅に軽量化したことから、軸受の摩擦損失(トルク)を大幅に低減しました。
開発品の性能;低振動
開発品の性能;低トルク

【製品の効果】

  1. 高速回転時の低振動・低騒音に貢献します。
  2. 省エネルギーに貢献します。