Press Release

「過酷潤滑環境下での長寿命リップ付きスラストレース」を開発

~ 自動車の変速機の小型・軽量化と高効率化に貢献 ~

日本精工株式会社(本社:東京都品川区、代表者:取締役 代表執行役社長 大塚 紀男、以下NSK)は、オートマチック変速機(以下AT)用として、従来品に比べて長寿命化と小型・軽量化を実現した「長寿命リップ付きスラストレース」を開発しました。本製品は、小型・軽量化に加えて、変速機の効率向上を目的としたATオイルの低粘度化による過酷環境に対応し、燃費向上に貢献します。NSKは、本製品により2015年に売上10億円を目指します。

過酷潤滑環境下での長寿命スラストリップ付レース

【開発の背景】

近年、燃費向上と変速ショック低減や動力の伝達効率を高めるため、多段ギアATが増加しています。多段ギアATでは、変速機の伝達効率に悪影響を与える攪拌抵抗を減らすため、低粘度ATオイルが多く採用され、変速機用スラストニードル軸受は過酷な潤滑環境下で使用されます。また、ハイブリッドカー(以下HEV)の変速機用軸受では、更なる燃費向上のため、小型・軽量化が求められています。更に、HEVがモータのみで走行する際には、オイルポンプが作動しない場合があり、変速機用スラストニードル軸受は潤滑が希薄な過酷環境下で使用されます。

本製品は、これらの小型・軽量化、過酷環境対応などのニーズに対して、以下の優れた特長で、燃費向上とCO2削減に貢献します。

【製品の特長】

プレス加工性向上により2.5mmを超える板厚を可能に
炭素とシリコンの量を低減し、クロム量を向上させることで、靭性(じんせい)を向上させたNSKオリジナル鋼材PCR5を採用しました。これにより、本製品は2.5mmを超える厚さながらプレス加工が可能になりました。
浸炭窒化処理
NSKオリジナルのPCR5に浸炭窒化処理を施し、靭性と表面硬度と疲労強度を両立した材料をスラストリップ付レースに採用しました。

【製品の効果】

  1. 従来比3倍以上の寿命を実現
  2. 従来比2割の小型・軽量化
  3. HEVなど低粘度オイルの過酷潤滑環境下に対応

リップ付きスラストレースの必要性

リップ付スラストレースの必要性

過酷潤滑環境対応「長寿命スラストレース」のニーズ

過酷潤滑環境対応「長寿命スラストレース」のニーズ

「長寿命リップ付スラストレース」の特徴 (長寿命効果)

「長寿命リップ付スラストレース」の長寿命効果

「長寿命リップ付きスラストレース」の特徴

「長寿命リップ付きスラストレース」の特徴