Press Release

「プレス機向け高荷重用ボールねじ」を商品化

~ 許容最大荷重を1.3倍(当社従来比)に向上し、プレス機の小型化に貢献 ~

NSKは、許容最大荷重を1.3倍に向上した「プレス機向け高荷重用ボールねじ」を開発し、商品化します。

プレス機向け高荷重用ボールねじ

プレス機械など非常に大きな荷重を受ける送り機構には従来油圧駆動が多く使用されていました。近年、成形性や製品精度の向上、油を使わない事による環境負荷の低減、消費電力削減などの優れた特長から回転モータとボールねじを使用した電動化が進んでいます。プレス機の中でも、板金の曲げ、打ち抜きなどの加工では、短い加圧範囲にだけ非常に大きな荷重が作用することになります。このため、許容される最大荷重(限界アキシアル荷重)の、より大きなボールねじが求められていました。

NSKは、独自のナット内ボール負荷分布解析を用いボールねじの内部仕様を最適化することにより、ボールねじの限界アキシアル荷重を1.3倍に向上し、プレス機向け用途に最適なボールねじを開発しました。

NSKは、2009年2月から本開発品の販売を開始し、2011年に5億円の売上を目指します。また、2008年11月7日(金)~11月11日(火)に幕張メッセにて開催される「IPF(国際プラスチックフェア)2008」に本開発品を出品します。

【製品の特長】

許容最大荷重(限界アキシアル荷重)を1.3倍に向上(特許出願中)
当社独自の解析技術を駆使し、ねじ溝形状の最適設計を行いました。これにより、ボールのねじ溝への乗り上げ*1による許容最大荷重(限界アキシアル荷重)を従来比1.3倍に向上することが可能となりました。板金プレスのように、短い加圧範囲にだけ非常に大きな荷重が作用する用途に最適なボールねじが実現しました。

*1:乗り上げ:ボールがねじ溝の肩部に乗り上げて損傷すること

プレス機用ボールねじを20%小型化(電動プレス機の小型化に貢献)
限界アキシアル荷重が1.3倍に向上したため、従来仕様の高負荷容量ボールねじに比べ、軸径を約20%小さくすることができます。これにより電動プレス機の小型化が可能となりました。
NSK S1™ピースの採用による長寿命化
プレス機のように大きな荷重が作用する機械では、機械の変形によりボールねじに偏荷重が作用し、ボールの競り合いが大きくなることで、早期に破損することがあります。本開発品はその対策として、ボール間にスペーサーとしてNSK S1ピースを標準採用し、長寿命化を実現しました。
豊富なバリエーションで幅広いニーズに対応可能
本開発品は、射出成形機で実績が豊富な高負荷駆動用HTFシリーズ、高速・高負荷仕様のHTF-SRC、HTF-SRDシリーズ、環境対応商品のグリース密封形A1シリーズに全て寸法互換で対応できます。

【開発の背景】

NSKは1996年に業界初の高負荷容量用ボールねじ「HTFシリーズ」を発表後、高負荷容量用の高速シリーズ、高負荷用グリース密封ボールねじを商品化し、射出成形機を中心として市場に展開中です。今回、この高負荷容量用ボールねじの基盤技術を応用し、プレス機に最適な商品を開発しました。

NSKは、今後も高負荷容量用ボールねじで培った技術を活用し、市場ニーズに合致した商品の開発を行い、各種機械の電動化に貢献してまいります。

開発の背景 <プレス機械の分類>
開発の経緯
ボールのねじ溝への乗り上げを回避する手段