Press Release

高温長寿命電装用軸受を開発

NSKはアイドラプーリーやエアコン駆動プーリーなどの自動車電装品用軸受の高温化に対応し、長寿命化を実現する次世代電装用軸受を開発しました。

高温長寿命電装用軸受

【開発の背景】

自動車のエンジン補機は、高出力ニーズに対応した高速回転化に伴い発熱が大きくなり、また軽量化・低コスト化を狙ったプーリーの樹脂化により放熱性が悪くなるため、軸受温度が更に高くなってしまいます。例えば、従来は最高温度150~160℃であったものが、これらの使用環境の変化により、180℃程度にまで高まってきています。

軸受温度が上昇すると軸受の焼付き寿命が著しく低下してしまうため、高温環境下でも十分な信頼性を維持することが急務となっていました。

【開発の効果】

今回、NSKが開発した高温長寿命電装用軸受は、高温用グリースを新規開発、また保持器・シールの形状を改良し、耐熱性の優れた材料を採用することで、高温環境下での信頼性を大幅に向上しました。

【高温長寿命電装用軸受の特長】

(1) 封入するグリースを新規開発することで、焼付き寿命を大幅に向上。
  • 耐熱性に優れた油と潤滑性の良い油をブレンドし、高温用に最適な基油を開発。
  • 軸受回転時に発熱が少なく、油保持力に優れた増ちょう剤を開発。
  • 高温でも酸化されにくい添加剤を配合。
(2) 保持器およびシールの形状を改良し、耐熱性の優れた材料を採用することで、グリースの潤滑性を最大限にサポート。
  • グリースがボールの接触部に供給されやすくなるよう,保持器ポケット形状を最適設計。
  • グリースが外部にもれるのを防ぎ、軸受内循環を促すようゴムシールの形状を最適化。
  • 保持器・シールともに180℃環境下でも十分に耐え得る材料を選定。

以上(1)(2)の開発により、従来の使用限界温度を20℃向上し、180℃環境下でも十分な信頼性を持つ軸受を開発しました。

NSKの高温長寿命電装用軸受は、高温化が加速する市場要求に対応し、エンジン補機用軸受市場において、2007年に5億円の売上増を目指しています。