Press Release

工作機械用高性能精密軸受「複列円筒ころ軸受NN-Zシリーズ」を開発

~ 世界に先駆けPPS樹脂製高強度・高剛性保持器を採用 グリース潤滑下での低発熱化を達成し高速回転を実現 ~

NSKは、工作機械用高速主軸スピンドルの自由側に使用される低発熱の複列円筒ころ軸受NN-Zシリーズを開発し商品化しました。

工作機械用高性能精密軸受「複列円筒ころ軸受NN-Zシリーズ」

工作機械の主軸スピンドルは近年、高速・高精度化を目的としてモータビルトイン化(スピンドルにモータを組み込み一体化したユニット)が進んでいます。また、軸受の潤滑では、メンテナンスが容易で作業環境を汚染させにくいグリース潤滑へのシフトが進んで、グリース潤滑での高速化が強く要求されています。

スピンドルがモータビルトイン化されることにより、特に自由側の軸受には、高い支持剛性と温度変化による熱膨張を逃がすための機能が求められます。この自由側の軸受には、(1)予圧バネ付アンギュラ玉軸受、(2)単列円筒ころ軸受、(3)複列円筒ころ軸受を使用するなどの選択肢がありますが、それぞれ以下の課題がありました。

  • (1) 軸受外径を覆うスリーブを設け、この外径部にスライド機能を持たせ、熱膨張による軸の伸びを吸収する方法ですが、構造が複雑で幅も長くなります。
  • (2) グリース潤滑では軸受内部の空間が小さく、軸受内部のグリース量を十分保持させられないため、グリース劣化により焼付き寿命が短くなります。
  • (3) グリースの攪拌抵抗による温度上昇が大きいため、回転速度は最高dmn 85万に抑えられ、高速化には限界があります。

今回、開発した複列円筒ころ軸受NN-Zシリーズは、自由側軸受として円筒ころ軸受固有のころと外輪軌道面で自由に動ける機能と適正な剛性を保ちつつ、高速回転時にグリース潤滑において低発熱を達成したもので、次のような特長を持っています。

  1. 適正な剛性を維持しつつ軸受内部のグリース量を十分保持し、かつ攪拌抵抗のもととなる軌道面の余分なグリースを回収格納できる空間を確保した設計
  2. 高強度・高剛性なエンジニアリングプラスチックであるポリフェニレンサルファイド(PPS樹脂)を世界に先駆けて採用し、高速回転に適した軽量保持器を新開発
  3. シミュレーション解析を駆使して設計した、高速回転時にも耐える保持器構造

これらにより高速回転時にグリース潤滑下で低発熱を達成しました。対応サイズは、内径30mmから140mmとなっています。

本製品はすでに国内の工作機械メーカに一部納入され、好評を得ています。売上目標は2006年に10億円を目標とし、工作機械用精密軸受の分野での拡販を目指します。