NSKは、世界で初めて鉄鋼連続鋳造設備(以下連鋳と記載)のガイドロール用に調心性を有した円すいころ軸受を開発し、商品化に成功しました。この軸受は、現在ガイドロールの固定側に広く使用されている自動調心ころ軸受に対して、軸受の耐久寿命が3~4倍となり、鉄鋼ユーザでのメンテナンスコスト削減に大幅に貢献できます。
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プレスリリース
2005年07月27日
日本精工株式会社 CSR本部 広報部
~ 過酷環境下(重荷重・極低速・高温・多湿・スケール…)で従来比4倍の長寿命達成 ~
NSKは、世界で初めて鉄鋼連続鋳造設備(以下連鋳と記載)のガイドロール用に調心性を有した円すいころ軸受を開発し、商品化に成功しました。この軸受は、現在ガイドロールの固定側に広く使用されている自動調心ころ軸受に対して、軸受の耐久寿命が3~4倍となり、鉄鋼ユーザでのメンテナンスコスト削減に大幅に貢献できます。
連鋳ガイドロール用軸受は、油膜が形成し難い重荷重・極低速・高温・多湿・及びスケール(鋳造時に発生するゴミ)も加わる過酷な使用条件で用いられます。また、重荷重によりロールが大きくたわむため、軸受にはこの傾きを吸収する調心機能が求められます。連鋳1基には通常1500~2000個程度の軸受が用いられますが、このうち1個でも破損すると、この設備により生産される製品の品質に大きな影響を及ぼします。このため、鉄鋼メーカから、過酷な使用条件下においても長寿命で、かつ調心機構を持った信頼性の高い軸受の開発が強く求められていました。
従来、ラジアル及びアキシアル荷重が負荷される固定側軸受、ラジアル荷重のみが負荷され、熱によるロールの伸びを逃がす自由側軸受とも自動調心ころ軸受が用いられていましたが、この自動調心ころ軸受は、特有のすべり現象によって発生する外輪軌道面の異常摩耗・割れの防止が課題となっておりました。そこでNSKは1980年代に、自由側軸受にこのようなすべり現象が生じない円筒ころ軸受を用いて、かつ調心性を付加した調心輪付き円筒ころ軸受を開発・商品化し、飛躍的に寿命延長を達成しました。また2001年には、従来の自動調心ころ軸受の2倍の耐久寿命を有するSWR(Super Wear Resistance)自動調心ころ軸受を商品化しました。
今回開発・商品化した円すいころ軸受は、SWR軸受以上に軸受寿命を延長させたい特定のユーザ向けの製品であり、大きな荷重を受けるころと軌道輪の接触部がすべりの無い完全な転がり接触となるため、潤滑状態が如何に過酷でも軸受軌道面が摩耗し難く、かつ高アキシアル荷重を受けることができるため、連鋳ガイドロール固定側用軸受として最適なものと考えております。
有限要素法による強度設計、連鋳シミュレーション装置を用いた開発試験によって生まれた調心輪付き円すいころ軸受の特長を以下に示します。
本軸受は、鉄鋼ユーザによる実機評価で、従来の自動調心ころ軸受に比べて3~4倍に寿命が延長することが確認されており、お客様でのメンテナンスコスト削減に大幅に貢献できると考えています。
本軸受の開発により、先に発表したSWR軸受および調心輪付き円筒ころ軸受等と合わせ、NSKは連鋳用軸受シリーズのフルラインナップを取り揃え、お客様の幅広いご要望にお応えし、積極的に拡販してまいります。
NSKは連鋳用軸受の売上で、3年後40億円を目指します。