NSKのグループ会社であるNSKマイクロプレシジョン株式会社(取締役社長 石井和男、以下ISCと記載)は、外径2mm、内径0.6mmの世界最小径深みぞ玉軸受の製造に成功し、量産技術を確立しました。
軌道面精密研磨、超仕上げ加工が施された本玉軸受は、保持器付きであり、超精密・静音型の深みぞ玉軸受として、国際規格AFBMA ABEC5(JIS P5)級の精度をクリアしています。
ISCは国内2か所、海外3か所の生産拠点を持つミニアチュア玉軸受メーカで、超高速回転にて使用される歯科高速スピンドル用をはじめ、低トルク・低騒音・長寿命が要求されるファンモータ用や、高密度化に対応し低トルク・低騒音・低振動が要求されるHDD用などの各用途向け玉軸受を生産しています。
量産レベルで捉えると、今までは同社生産の外径4mmものが一番小さい軸受でありましたが、最近では外径3.5mm或いは2.9mmサイズの軸受が順次開発・生産されるようになりました。これはHDD、IT製品のダウンサイジングにより、要求される軸受の精度や性能を現状と同等かそれ以上にしつつ、外径・幅寸法を小さくすることが急務となったためです。
今まではお客様からの注文で製品を設計・生産をしていましたが、今回ISCは超小型、超薄型の客先ニーズを先取りして世界最小径の深みぞ玉軸受の開発を行いました。この開発は通常の軸受製造技術に比ベ、ワンランク高いISCの超極ミニ軸受加工技術により可能になったものです。
具体的なサイズ及び材質は次のとおりです。
外径 | 2.0mm (0.0787インチ) |
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内径 | 0.6mm (0.0236インチ) |
幅 | 0.8mm (0.0314インチ) |
ボールサイズ直径 | 0.3mm×7個 (0.0118インチ) |
内外輪玉材質 | ステンレス |
製造工程は従来からある超精密深みぞ玉軸受と基本的には同じですが、得意とするマイクロ加工技術、組立・測定技術を更に追求すると同時にNSKグループ関係各社の協力を得ながら今回の超極ミニ分野の玉軸受量産技術を作り上げました。
これにより外径2mm、内径0.6mm以上のミニアチュア玉軸受の注文に全て対応できる体制が整い、2007年には、年間24億円の売上を見込んでいます。