
NSKは、エンジン動弁系の苛酷な希薄潤滑環境下で使用されるローラ付ロッカーアーム用のタペットローラ軸受の表面損傷を抑制し、従来のタペットローラ軸受の2倍以上の耐久性を持つ“NSK L Cubeシリーズ”を開発いたしました。
エンジンの動弁系のフリクション低減アイテムとして知られるローラ付ロッカーアームは、最近の環境問題,燃費規制の影響で急速に採用が増加しています。NSKはこの部位で使用されるタペットローラ軸受を約20年前に国内で初めて量産し供給してきましたが、従来は相手部品であるカムの材質により,軸受の仕様の使い分けをしていました。つまり、カムとの接触部での潤滑不足により金属接触が起き易く、ローラの外径面やカムに表面損傷を発生させる事があったためです。
この度、NSKはカムの多様な材料・熱処理・表面仕上状態に適応し、カムも損傷させることもない特殊な表面加工を施した高耐久タペットローラ軸受“NSK L Cubeシリーズ”を開発しました。
“NSK L Cubeシリーズ”は、低フリクション(Low friction)であり、ローラ外径面の表面形状は、平坦部に意図的に溝を持った形状で油溜りにより希薄潤滑下の表面損傷を防止し(Lean lubrication resistance)、長寿命を実現することができる(Long life)製品であります。
“NSK L Cube”とは、上記のLの頭文字を持った3つ(Cube)の特長を持った製品であるという意味が込められています。
“NSK L Cubeシリーズ”の特長は次のとおりです。
- 従来のすべりから転がり方式に変えることで , この部分の動トルクを60%低減
- ローラ外径面の表面形状は、平坦面に深い溝を持った形状で,その溝で油溜りを形成することにより、カムとの接触部における希薄潤滑時の油膜切れを防止
- カムに接触する軸受外形面の均一な表面の実現により、カムとの接触状態を良好に保つ(カム材質、粗さ変化に対するロバスト性が向上)
タペットローラ軸受“NSK L Cubeシリーズ”は、エンジン動弁系において希薄な潤滑の過酷な用途に対応し、NSKの加工技術を駆使して従来品に比べて2倍以上の長寿命を実現したタペットローラ軸受です。NSKは、海外戦略商品の一つに位置付け3年後にタペットローラ軸受の売上で50億円/年(現状25億円)を目指します。