
NSKは、自動車トランスミッションのベルト式無段変速機(以下ベルトCVT)プーリー支持用軸受において、稀に発生する早期はくり(微小な金属片がフレーク状に剥がれる現象)を防止し、優れた耐久性と信頼性を有する次世代長寿命ベルトCVT用軸受(名称 BELTOP:ベルトップ軸受)を開発いたしました。
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プレスリリース
2004年06月24日
日本精工株式会社 CSR本部 広報部
NSKは、自動車トランスミッションのベルト式無段変速機(以下ベルトCVT)プーリー支持用軸受において、稀に発生する早期はくり(微小な金属片がフレーク状に剥がれる現象)を防止し、優れた耐久性と信頼性を有する次世代長寿命ベルトCVT用軸受(名称 BELTOP:ベルトップ軸受)を開発いたしました。
ベルトCVTは、1987年以降に広く普及してきた比較的新しいトランスミッションであり、金属製駆動ベルトをプーリーに押し付け動力を伝える構造です。このベルトの張力およびプーリーの回転荷重が作用するプーリー支持用軸受は、エンジン入力トルクおよび回転数や温度が高くなるなど年々使用条件が厳しくなり、特にトランスミッションの小型・軽量化もあり自動車メーカーの開発段階で稀にではありますが、設計予測寿命時間に達しない早期はくりが発生することがありました。この早期はくりは、通常のはくりと異なり、微小き裂もしくは白色組織変化を伴うという特徴があり、軸受メーカーにとってその防止が重要課題となっていました。
今回NSKは、最新の技術を駆使して、早期はくりの発生要因が、軸受材料中への水素の侵入による材料の強度低下にあることを発見。早期はくりの発生メカニズムに立脚して、軌道輪材料に高クロム肌焼鋼(SHX3)を用いた長寿命ベルトCVT用軸受(以下ベルトップ軸受)を開発しました。
ベルトップ軸受は、早期はくりを防止し長寿命化を実現するとともに、トランスミッション用軸受の重要な機能であるギア摩耗粉等の異物噛み込みによるはくり対策や高温下での寸法安定性に対しても十分な性能を兼ね備えた軸受であります。
ベルトップ軸受は、高クロム表面硬化鋼をベースに浸炭窒化技術を組合せることによって、水素起因によるはくり寿命を従来のSUJ2材軸受比べ10倍以上延長することに成功しました。
NSKは、これまでに開発・発売済のTFシリーズ軸受にベルトップ軸受を加え、ベルトCVT用支持軸受分野の世界市場で拡販をはかり、2006年に年間約50億円の売上を目指します。