
NSKは、自動車の自動変速機(以下AT)の高効率化に貢献するAT用低摩擦トルク複列軸受「低摩擦トルクDR軸受」を開発しました。
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プレスリリース
2004年09月23日
日本精工株式会社 CSR本部 広報部
NSKは、自動車の自動変速機(以下AT)の高効率化に貢献するAT用低摩擦トルク複列軸受「低摩擦トルクDR軸受」を開発しました。
ATのギア支持用軸受は組み付け性、予圧設定の容易さから複列軸受が多く使用されています。
ATでは燃費向上のために伝達損失の低減が最大の課題となっており、使用される軸受にも摩擦トルクの低減が求められています。また、ATは、従来から耐久性が重視されており、近年車両への搭載性や軽量化による燃費向上の観点から小型化が非常に重要な課題となっています。その結果、軸受も長寿命でかつコンパクトであることが要求されます。
このため、軸受形式の選定において負荷容量の小さい玉軸受より負荷容量の大きい円すいころ軸受を採用する場合があり、また、転動体(ころ、あるいは玉)については数を最大限にするよう、設計を行なっているのが現状です。しかし、軸受の摩擦トルク低減の観点から見ると、円すいころ軸受よりも玉軸受の方が有利であり、転動体の数も少ない方が有利であります。
このように耐久性の確保と摩擦トルクの低減は二律背反の関係にあり、双方を満足させることは困難でした。この課題を解決するために、NSKは今日までに築き上げてきた独自の技術―長寿命材料・熱処理技術「TF(タフ)化技術」と軸受性能シミュレーションソフトウェア「NSK BRAIN」による解析技術を組み合わせることによって、充分な耐久性を備えた低摩擦トルク複列軸受「低摩擦トルクDR軸受」を開発しました。
「低摩擦トルクDR軸受」は、長寿命材料・熱処理技術「TF(タフ)化技術」を採用することにより低摩擦トルク設計を可能にし、さらに「NSK BRAIN」によって十分な耐久性と低摩擦トルクを同時実現する最適設計を可能にしました。
「低摩擦トルクDR軸受」の低摩擦トルク効果は、複列円すいころ軸受使用から複列アンギュラ玉軸受へ置換えた場合に最も効果が大きく、シミュレーションの結果から最大約40%の摩擦トルク低減が期待できます。
今後、同製品をAT用軸受の主力製品の一つとしてお客様への提案活動を行い、AT用軸受の新規案件、受注を目指してまいります。