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鉄道車両用車軸センサー軸受を開発

鉄道車両用車軸センサー軸受を開発
鉄道車両用車軸センサー部分

NSKは、鉄道車両の一層の安全性・信頼性向上に寄与するため、車軸軸受の温度、振動、回転速度を同時検出可能な「鉄道車両用車軸センサー軸受」を開発いたしました。

鉄道車両用軸受には高い信頼性が要求され、NSKは、従来から鉄道車両用軸受そのものの性能・信頼性向上に努めてきていますが、センサー軸受の開発によって軸受の作動状態を常時監視することが可能となり、更なる信頼性向上を図ることが可能となります。

今回開発した鉄道車両用車軸センサー軸受は、小さい取り付けスペースで多機能のセンシングを可能とするため、1つのセンサー内に複数のセンシング機能を搭載したマルチセンサー構造であり、温度・振動・回転速度センサーを内蔵したタイプ、温度と振動、温度と回転速度の組合せタイプ等、複数のバリエーションがあります。また、センサーと軸受を一体としたタイプだけでなく、組立て取り外しを容易にするためにセンサーと軸受を別体としたタイプも用意いたしました。

鉄道車両用車軸センサー軸受のセンシング機能は以下のとおりです。

1. 回転速度の検知
2. 温度の検知
軸受部の温度を常時センシングすることにより、軸受部の温度上昇を検知いたします。これによって、軸受部の温度上昇に係るトラブルを未然に防止することができます。
3. 振動の検知
車輪のロック・滑走により車輪の円周上の一部が摩耗して平坦部(車輪フラット)が生じると、乗り心地が悪くなるだけでなく、レールを傷めるという問題が起こります。快適な車両運行を実現するために、車輪フラットを発生させないさまざまな対策が施されていますが、この振動検知機能により、万が一車輪フラットが生じた場合でも、そこで発生する振動を瞬時に検知し、より快適な鉄道輸送実現に貢献できます。なお、同様に軸受で発生する異常振動なども検出可能であり、温度検知と併用することで、軸受の異常検知をさらに確実なものとすることが可能となります。

なお、開発にあたりましては、鉄道車両という使用条件に対しまして以下の点に留意しています。

1. 耐衝撃性能
車両がポイントや線路の継ぎ目を通過する際などに強い衝撃を受けます。そのため、100Gを超える耐衝撃性能を実現しました。
2. 長期メンテナンスフリー化
一般に、鉄道車両の車軸用軸受は約60万km以上の走行期間を解体検査されることなく使用されます。そこで、長期間機能を維持できるよう振動耐久性を持つ仕様としています。
3. 耐候性能
鉄道車輌の台車という直射日光・風雨・雪にさらされる環境下で使用されるため、防水、耐寒、耐熱等に充分配慮した仕様としています。

なお、今回開発した鉄道車両用車軸センサー軸受は、日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)が本年3月13日から営業運転を開始したM250系特急コンテナ電車「スーパーレールカーゴ」(最高時速130km)に採用されました。本製品が、鉄道の更なる安全性及び信頼性向上に貢献すると同時に、今後広範囲に採用を働きかけてまいります。