NSKは、環境に優しく、工作機械主軸軸受の高速回転化・長期メンテナンスフリー化に貢献するグリース補給装置を商品化し、販売を開始しました。この潤滑装置は工作機械でも高速回転を必要とするマシニングセンタ主軸スピンドルで、グリース潤滑の適用範囲を従来の1.3倍の回転数までの対応を可能にしました。
本潤滑装置はマシニングセンタなどの高速工作機械主軸に対し、グリースを補給する装置として世界で初めてNSKが開発したもので、従来のグリース補給の無いタイプと比較して、1.3倍の高速化が可能となり、また、dmN値(軸受ピッチ円径×回転数)180万の高速回転領域では、グリース補給の無いタイプと比べ100倍以上の潤滑寿命が実現可能となります。
従来、高速マシニングセンタ主軸の潤滑には一般にオイルエア潤滑が採用されていましたが、オイルエア潤滑と比較すると、グリース補給潤滑ではオイルやエアの消費がない省エネルギーを実現、オイルエアの風切り音による騒音が発生しない、主軸軸受について通常の使用条件で3~5年の潤滑メンテナンスフリー化、などの特長を有しています。
こういった意味で、工作機械主軸用の次世代の潤滑装置として商品化が望まれていました。オイルを使用しないという点では省エネ、環境保護の面、油を嫌うグラファイト加工の高速化の分野からも期待されています。
補給装置は2004年10月からグリース補給専用のセラミックボール高速アンギュラ玉軸受(ロバスト軸受)とセット販売を行います。装置は、エアにより駆動する微量のピストンポンプを採用し、1ショット0.01ccから0.02ccのグリースを軸受に供給することが可能です。装置には、弊社が開発し市場で実績のある、高速で低発熱の高速工作機械専用MTEグリースが200cc封入されています(200ccのグリースで3~5年メンテナンスフリーとなります)。また、作動異常モードとして、圧力不足やグリース切れを知らせるセンサーが標準で装着されています。
本装置はグリース補給専用の軸受とセットで販売しますが、販売目標は2007年には軸受を含めて10億円として、ロバスト軸受シリーズの拡販30億円達成を目指しております。