NSKはあらゆる産業分野のニーズに適合出来る画期的な高機能軸受「HPS自動調心ころ軸受シリーズ」を開発し販売を開始しました。
この軸受は同一サイズで従来軸受の寿命を2倍に延ばすという大幅な性能アップを実現し、さらには許容回転数を最大20%向上させることに成功しました。お客様のメンテナンスコスト削減、ダウンサイジング、省エネ設計等に大きく貢献いたします。
自動調心ころ軸受は、他のタイプの軸受に比べ、高負荷容量かつ調心性を有し(心違いがある個所に使用可)、一体で取り扱いが容易であることから、鉄鋼、製紙、鉱山、建設機械をはじめ産業一般に幅広く汎用ころ軸受として使用されています。このため、回転性能と共にタフである(壊れにくい)ことが求められます。
この要望にお応えするためにNSKは1998年に高機能自動調心ころ軸受「EAシリーズ」の販売を開始し国内、海外で好評を博しましたが、この度発売する「HPS自動調心ころ軸受シリーズ」は大幅な高性能化を実現しております。
[長寿命]
自動調心ころ軸受は、調心性を持たせるため、球面形状の内外輪軌道面と、ころ転動面を有しています。このため、回転中の内外輪ところの接触面ではその幾何学的形状のためにすべりが生じます。このすべりが表面に大きな摩擦力を発生させ、表面疲労損傷に至らせる寿命メカニズムを世界で初めて解明。結果として、軸受寿命を延ばすためには、ころの自転を制御することで摩擦力を減らすこと、そしてころの自転を制御するためには外輪表面に特殊加工を施すことが効果的であるということを理論解析と実験で検証しました。これらを基に、量産製造技術を確立し、すべりを極少化した軸受の商品化に成功し、従来形軸受の2倍以上の寿命延長を可能にしました。
[高許容回転数]
自動調心ころ軸受の保持器は軸受の性能に大きく影響を与える重要部品であり、高精度の品質と高機能が必要です。高精度に加工されたプレス保持器に、過酷な使用条件での保持器の摩耗を大幅に減らすことを可能にする特殊窒化処理(従来の窒化処理に比べ緻密で均一な高硬度の表面層を形成)をNSKが初めて採用しました。従来、保持器前後処理を含め高温処理が必要な特殊窒化処理は加熱変形による寸法精度の低下が避けられませんでしたが、NSKはこの困難な課題を解決、処理後においても高精度品質をそのまま維持させ、その結果、高速、長時間耐久使用での保持器摩耗量を減少させ、従来形軸受の許容回転数に対し最大20%向上をさせました。
「HPS自動調心ころ軸受シリーズ」は高度な解析技術と過酷な評価試験、洗練された生産技術力の結集により開発されたタフで回転性能に優れた自動調心ころ軸受です。NSKは、軸受外径80mmから260mmの42種類をシリーズ化し、国内外で幅広い分野を対象に拡販を図ってまいります。