NSKは、工作機械用として、初めてグリース補給タイプの高速スピンドルを開発しました。従来不可能であった定位置予圧方式で dmn 180万、主軸径 70mm(BT40)、20,000min-1レベルの長寿命化(20,000時間)を達成しました。
(dm:玉ピッチ径(mm) n:回転数(min-1))
主な特長は以下のとおりです。
- 定位置予圧方式で dmn 180万 主軸径70mm(BT40)、20,000min-1レベルの長寿命化(20,000時間)
- 微量グリースの外部からの供給方法により、オイルエア潤滑やオイルミスト潤滑に比べ、省エネルギー化や作業環境の改善に貢献
- グリース供給装置もオイルエア潤滑に比べ大幅に小型化かつ低価格化を実現
工作機械用の高速スピンドルは従来、グリース潤滑が用いられていたましたが、グリース寿命の問題により定位置予圧方式で dmn 130万が限界であり、昨今の主軸の高速化に伴なって dmn 130万を越えるとオイルエア潤滑やオイルミスト潤滑で対応していました。
しかし、オイルエア潤滑やオイルミスト潤滑では、加工時におけるオイルの大気への噴霧やエアの大量消費などが問題となっており、環境の保護、省エネ化が望まれていました。そのため、グリース潤滑でのさらなる高速化が望まれていました。
また、工作機械の高速スピンドルは、大きく分けてばねによる定圧予圧方式と定位値予圧方式の2種類があり、本来は軸剛性・先端の変位の点で定位置予圧方式が望ましいのですが、高速のグリース潤滑スピンドルではグリース寿命の問題から定圧予圧方式が採用されていました。
この度、NSKは、従来の工作機械用スピンドルでは、考えられなかった微量のグリースを外部よりスピンドル内部の軸受へ確実に補給するシステムを開発し、定位置予圧方式での高速化に成功しました。軸受は、超高速・低発熱で定評のあるロバストシリーズ(セラミックボール)を採用しています。このシステムはグリースの補給量と補給間隔を外部から制御し、安定した潤滑状態を保ち、グリース潤滑の「高速化1.4倍」及び「長寿命化100倍以上」を達成しました。
オイルエア潤滑やオイルミスト潤滑では必要であったエア消費を大幅に削減することにより機械装置のランニングコストを削減し、それにともない耳障りなエアの風切り音による騒音問題を解消することにも成功しました。
また、グリース供給装置自体もオイルエア潤滑装置にくらべると大幅に小型かつ低価格となっており、機械全体の低価格化をはかることができます。
NSKは、本グリース補給スピンドルを 2002年10月28日から開催される JIMTOFに出展し、高速マシニングセンタ向けに 2003年春からの販売を予定しています。