NSKは、連続鋳造設備ガイドロール用として、従来に比べ2倍以上の寿命が得られる長寿命軸受「SWR™(Super Wear Resistance)軸受」の開発に成功し、販売を開始します。
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プレスリリース
2001年09月26日
日本精工株式会社 CSR本部 広報部
NSKは、連続鋳造設備ガイドロール用として、従来に比べ2倍以上の寿命が得られる長寿命軸受「SWR™(Super Wear Resistance)軸受」の開発に成功し、販売を開始します。
連続鋳造設備は鋼材製造の初期工程で、溶鋼をロールの間を通して表面から順次凝固させながら鋳込む設備です。1ラインで五百個から千個程度の軸受が使用されており、その使用条件は、重荷重、極低速回転(毎分数回転)という条件に加え、水や粉塵の混入する潤滑環境で、軸受にとっては、もっとも厳しい使用個所といえます。
この設備用としては、いくつかの形式の軸受が使用されていますが、自動調心ころ軸受と呼ばれる軸受がもっとも多く使用されています。しかし、このように過酷な条件のため、この軸受形式特有の差動すべり現象により、外輪軌道面に偏摩耗が生じ、そこを起点にクラックや剥離損傷に発展し、さらに剥離損傷から外輪割れを起こし操業を停止させる突発事故に至る場合もあります。この突発事故が発生すると、その補修には多大な時間と費用を要するため、各製鉄所では、軸受の点検や交換といったメンテナンス周期を思うように延長出来ないでいます。
近年、このような突発事故の防止と、メンテナンスコスト削減という観点から、連続鋳造設備用として長寿命軸受の開発が強く求められていました。(なお連鋳機のメインテナンスコストは年数億円、そのうち軸受起因のメンテナンスコストは3割以上とも言われており、軸受の長寿命化の効果は非常に大きいと考えられます)
今回の「SWR 軸受」開発にあたっては、社内ベンチテストでの良好な結果が得られたことから、いくつかの製鉄所のご協力を得て、連鋳ラインにおいて実機評価を行ってきました。その結果、使用される部位によっても異なりますが、従来軸受より2倍から3倍以上の寿命延長効果が得られました。
今後も引き続きフィールドデータを積むことによって、剥離寿命、究極破壊寿命に対する「SWR 軸受」の優れた特性で、メンテナンス周期延長、生産の効率化に寄与できるものと考えます。
世界には約5,500基の連鋳ラインが稼働しており、軸受年間総需要は80億円程度と推定されますが、「SWR軸受」は、その優れた特性を以って、5年後には現在の10億円から40億円への売上増を期待しています。