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2.4 ころ軸受(ローラーベアリング)

ころ軸受(ローラーベアリング)は転動体に ころを使用している軸受の総称です。外輪または内輪ところは線状に接触する(線接触という)ため、一般に玉軸受(点接触)に比べ、重荷重に適しています。その反面、高速回転には不向きです。

円筒ころ軸受

  • 円筒状のころと軌道は線接触です。
  • 接触角がないため、ラジアル荷重負荷能力が大きく、主として、ラジアル荷重を負荷します。
  • 転動体と軌道輪つば との滑り摩擦が小さいので、ころ軸受の中では高速向きです。
  • いずれの形式も、内輪と外輪は分離できるため、取付け取外しが容易です。
  • ころ付き外輪または内輪に内輪または外輪を任意に組合せても軸受としての機能を損じない互換性タイプと、任意組合せ不可の非互換性タイプがあります。互換性タイプは、組立時の内外輪管理が簡単です。
  • 内輪または外輪に つば の無い形式の円筒ころ軸受は、軸の伸び縮みを吸収することができます。

円筒ころ軸受の形式と特徴

  • NU形、N形、NNU形、NN形は自由側軸受に適しています。
  • NJ形、およびNF形は、一方向のアキシアル荷重を若干、負荷することができます。
  • NH形、およびNUP形は、固定側軸受に適しています。
単列円筒ころ軸受
複列円筒ころ軸受
円筒ころ軸受の構造
単列円筒ころ軸受の形式
複列円筒ころ軸受の形式
複列円筒ころ軸受は、ラジアル荷重に対する剛性が高く、工作機械の主軸に用いられることが多い。

針状ころ軸受

  • ころ径(DW)が6mm以下で、ころ長さ(LW)がころ径の3倍以上かつ10倍以下の転動体を使用しています。
    ころ内接円径に対する外径の割合が小さく、比較的大きなラジアル負荷能力をもっています。
    DW > φ 6 かつ LW = DW x(3 ~ 10)は棒状ころと呼びます。
  • 外輪が特殊合金鋼板製のシェル形軸受、削り出し軌道輪のソリッド形軸受、 軌道輪を省いたケージ&ローラ、カムフォロア形式があります。
  • 内輪付き/なしあるいは保持器付き/なしなどの形式や区別があります。 ⇒ 例:(R)NA48xx
  • 保持器付きの軸受には、主として鋼板の打抜き保持器が使用されます。

円すいころ軸受(テーパーローラーベアリングまたはテーパーベアリング)

  • 円すい台形のころが内輪の大つばによって案内されます。
  • 通常、2個の軸受を並べて使用し、ラジアル荷重、アキシアル荷重、モーメント荷重を負荷できます。
  • 内輪同士、外輪同士の間隔をアキシアル方向に調整することによって、適切な内部すきま(予圧)を設定することができます。
  • 複列および四列の円すいころ軸受もあります。
軌道面および転動面が、頂点を共有する円すい面で構成された軸受です。
そのため、転動体と軌道面との接触は、すべりを伴わない純ころがりとなります。
一方で、転動体に軸方向に発生する分力については、つばで受けており、この面と転動体の端面とはすべりによる接触となります。(α:接触角)

組合せおよび複列円すいころ軸受の特徴

図例 形式 呼び番号例 特徴
背面組合わせ(DB)形 HR30210JDB+KLR10 標準軸受を2個組合わせたものであり、軸受すきま(予圧)は内輪間座または外輪間座、もしくは両間座によって調整されています。
正面組合わせ(DF)形 HR30210JDF+KR
KBE形 100KBE+L 背面組合わせ(DB)形軸受の外輪と外輪間座とを一体にした軸受です。
KH形 110KH31+K 正面組合わせ(DF)形軸受の内輪を一体にした軸受です。

自動調心ころ軸受

  • 2列の軌道をもつ内輪と、軌道が球面の外輪との間に、転動面がたる形のころを組込んだ軸受です。
  • 外輪軌道面の曲率中心は、軸受中心と一致しているので、調心性があります。
  • ラジアル荷重および両方向のアキシアル荷重を負荷することができます。
  • ラジアル負荷能力が大きく、重荷重、衝撃荷重のかかる用途に適しています。
  • 軸やハウジングのたわみがある場合、または軸心の不一致がある場合、自動的に調整され、軸受に無理な力が加わりません。
  • 内輪内径がテーパ穴の軸受は、直接、テーパ軸に取付けるか、アダプタまたは取外しスリーブを使用して円筒軸に取付けます。
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