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9. 潤滑

摩擦によって、装置稼働時、1/2~1/3のエネルギーが摩擦によって失われていると言われています。このロスを抑制するには、潤滑剤、潤滑方法が重要となります。

潤滑の目的

転がり軸受の潤滑の目的は、軸受内部の摩擦および摩耗を減らし、焼付きを防止することです。潤滑の効用は、次のとおりです。
基本定格寿命(疲れ寿命)の延長
軸受の転がり疲れ寿命は、回転中の転がり接触面が十分に潤滑されている場合は長くなります。逆に、潤滑油の粘度が低く、潤滑油膜の厚さが不十分な場合には短かくなります。
摩擦および摩耗の減少
軸受を構成する軌道輪、転動体および保持器の、相互に接触する部分において金属接触を防止し、摩擦、摩耗を減らします。
その他
軸受内部に異物が侵入するのを防止、あるいはさびや腐食の発生を防ぐという効果もあります。
摩擦熱の搬出、冷却
循環給油法などでは、摩擦により発生した熱、あるいは外部から伝わる熱を油によって搬出、冷却し、軸受の過熱を防ぎ、潤滑油自身の劣化を防止します。

潤滑の概念

相対的に動いている二つの物体の面同士の直接接触を防ぎます。

グリース潤滑vs油潤滑

潤滑だけを考えれば、油潤滑が優れています。しかし、グリース潤滑は、軸受周辺構造を簡略化でき、安価です。
◯:優、×:劣
項目 グリース潤滑 油潤滑
ハウジング構造密封装置 ◯:簡略化できる ✕:やや複雑になり、保守に注意が必要
回転速度 ✕:許容回転数は油潤滑に比べ、65~80% ◯:グリース潤滑に比べ、
高い回転数でも使用可能
冷却作用冷却効果 ✕:なし ◯:熱を効果的に放出出来る
(循環給油法の場合など)
潤滑剤の流動性 ✕:劣る ◯:非常によい
潤滑剤の取替え ✕:やや繁雑 ◯:比較的簡単
ごみのろ過 ✕:困難 ◯:容易
潤滑剤の漏れ汚染 ◯:漏れによる汚染が少ない ✕:油漏れによる汚染を嫌う箇所には不適
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