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3. 運転検査

軸受の取付けが終ったら、その取付けが正常であるかどうかを確認するため、運転検査を行います。小形の機械では、手回しで円滑に回転するか否かを確かめます。調査項目は、異物やきず、圧こんなどによるひっかかり、取付不良、取付座の加工不良などによる回転トルクのむら、すきま過小、取付誤差、シールの摩擦などに起因するトルク過大などです。異常がなければ動力運転を行います。

大形の機械では、手回しができないので、無負荷で始動し、直ちに動力を切ってだ走運転を行います。振動、音、回転部品の接触の有無などについて異常がないことを確認してから動力運転に入ります。

動力運転は、無負荷、低速で始動し、徐々に所定の条件に上げて定格運転に入ります。試運転中の調査事項は、異常音の有無、軸受温度の推移、潤滑剤の漏れや変色などです。試運転で異常を発見したら、直ちに運転を中止して、機械を点検し、必要があれば軸受を取外して点検します。

軸受温度は、一般には、ハウジングの外面の温度から推測できますが、油穴などを利用して直接軸受外輪の温度を測ることができれば、より適切です。

軸受温度は、運転開始のあと徐々に上昇し、通常1~2時間で定常状態になります。軸受や取付けなどに不具合があれば、軸受温度は急激に上昇し、異常な高温となることがあります。その原因としては、潤滑剤の過多、軸受すきまの過小、取付不良、密封装置の摩擦過大などが挙げられます。高速回転の場合では、軸受形式や潤滑方法の選定の誤りなども原因となります。

軸受の回転音は聴音器などで調べます。高い金属音や異常音、不規則音などは異常を示すものであり、その原因として、潤滑不良、軸・ハウジングの精度不良、軸受の損傷、異物の侵入などがあります。上記の異常現象に関する推定原因と対策については、表2を参照して下さい。

表2 軸受にとって異常な運転状態とその原因・対策

注: (1) 中~大形の円筒ころ軸受や玉軸受で、グリース潤滑の場合、特に冬場や低温などの環境条件によっては、きしり音が問題になることがある。一般的には、きしり音が発生しても軸受の温度上昇はなく、疲れ寿命やグリース寿命への影響はないので、軸受をそのまま使用して差し支えない。あらかじめ、きしり音の発生が懸念されるような場合には、NSKにご相談ください。

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