保守・点検と異常処置
軸受本来の性能を良好な状態で、できるだけ長く維持するため、保守・点検を行います。これにより、故障を未然に防止し、運転の信頼性を確保し、生産性、経済性を高めることができます。
保守は、機械の運転条件に応じた作業標準により、定期的に行われることが望ましく、運転状態の監視、潤滑剤の補給又は取替え、定期分解による検査などにわたって行います。
運転中の点検事項としては、軸受の回転音、振動、温度、潤滑剤の状態などがあります。運転中に異常な状態を発見した場合には、表2を参考に、原因を確かめ対策をたてます。必要に応じ、軸受を取り外して詳しく調査して下さい。取外し後の要領については、前項5軸受の点検を参照して下さい。
NSKベアリングモニター(軸受異常予知装置)
運転中の軸受の異常の兆候を予知することは、操業上、極めて重要です。
NSKベアリングモニターは、運転中の軸受の挙動を監視し、異常の兆候が現われると警報を発し、あるいは自動的に機械を停止させ、事故を未然に防ぐとともに、保全の合理化に役立つ装置です。
軸受の損傷と対策
一般に、軸受は正しく取扱えば、疲れ寿命に達するまで長く使用できますが、意外に早く損傷し、使用に耐えな くなることがあります。この早期損傷は、疲れ寿命に対して、故障又は事故と呼ばれる性質の使用限度であり、取付け、取扱い、潤滑上の配慮不十分、外部からの異物の侵入、軸・ハウジングの熱影響についての検討不十分などに起因することが多くあります。
軸受の損傷状態として、例えば、ころ軸受の軌道輪つばのかじりについていえば、その原因として考えられることは、潤滑剤の不足・不適、給排油構造の欠陥、異物の侵入、軸受の取付誤差や軸のたわみの過大などがあり、これらの原因が重なることもあります。
したがって、損傷軸受だけを調査しても、損傷の真の原因を知ることは難しいのです。しかし、軸受の使用機械、使用条件、軸受周りの構造を知った上で、事故発生前後の状況が分かれば、軸受の損傷状態と幾通りかの原因とを結びつけて考察し、同類の事故再発を防止することが可能です。表3に軸受の損傷例の代表的なものについて、その原因及び対策を示してあります。

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