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5. 軸受の点検

軸受の洗浄

軸受を取り外して点検する場合には、まず、軸受の外観を記録に残します。潤滑剤の残存量を確かめ、調査のために潤滑剤を採取した後、軸受を洗浄します。洗浄剤としては、普通、軽油や白灯油が使用されます。

取り外した軸受の洗浄は、粗洗浄と仕上げ洗浄とに分けて行います。それぞれの容器には、金網製の上げ底を設けておき、軸受が直接容器のごみに触れないようにします。粗洗浄のとき、異物などが付いたまま軸受を回転させると、転動面にきずを付けることがあるので、注意して下さい。粗洗浄の油中ではブラシを使うなどして潤滑グリースや付着物を落し、おおむね、きれいになってから、仕上げ洗浄に移ります。

仕上げ洗浄は、軸受を洗浄油の中で回転しながら、ていねいに行います。なお、洗浄油は常に清浄にしておく配慮が必要です。

軸受の点検と判定

取り外した軸受の再使用が可能かどうかを判定するために、軸受をよく洗浄した後検査します。軌道面、転動面、はめあい面の状況、保持器の摩耗状態、軸受の(内部)すきまの増加、寸法精度の低下などについて損傷・異常の有無を注意深く点検します。非分離形の小形の玉軸受などでは、内輪を片手で水平に支持し、外輪を回してひっかかりの有無などを確かめます。

円すいころ軸受などの分離形軸受では、転動体や外輪の軌道面を別個に調べることができます。

大形の軸受では、手回しができないので、転動体、軌道面、保持器、つばのあたり面など外観を注意して調べます。軸受の重要度が高くなるほど、一層慎重に検査しなければなりません。

再使用が可能かどうかの判定は、軸受の損傷程度や機械の性能、重要度、運転条件、次回の点検までの期間などを考慮して決めることになります。しかし、次のような欠陥があれば、軸受の再使用はできないので、新しい軸受と取替えなければなりません。

  • (a) 内輪、外輪、転動体、保持器のいずれかに割れや欠けがある。
  • (b) 軌道輪、転動体のいずれかにフレーキングがある。
  • (c) 軌道面、つば、転動体に、著しいかじりがある。
  • (d) 保持器の摩耗が著しいか、リベットゆるみが甚だしい。
  • (e) 軌道面、転動体に、さび、きずがある。
  • (f) 軌道面、転動体に、甚だしい圧こんや打こんがある。
  • (g) 内輪内径面又は外輪外径面に、著しいクリープがある。
  • (h) 熱による変色が甚だしい。
  • (i) グリース封入軸受でシール板やシールド板の破損が著しい。
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