メインビジュアル

4. 取外し

軸受の取外しは、定期点検や軸受の取替えのときなどに行われます。取外し後に、その軸受を再使用する場合、又は軸受の状態を調査する必要がある場合には、取外しも取付けと同様に入念に行い、軸受及び各部品を損傷しないように注意する必要があります。特に、しまりばめをした軸受の取外しは、作業が難しくなるので、軸受周りの構造については、軸受を容易に取外しできるよう設計の段階で十分考慮します。必要に応じて取外用具を設計製作しておくことも大切です。

取外しに当っては、図面により取外方法、順序を検討し、軸受のはめあい条件なども調べて、取外作業の万全を計らなければなりません。

外輪の取外し

しまりばめをした外輪を取り外すには、図10に示すように、あらかじめハウジングに、外輪押出しボルト用のねじを円周上数か所に設けておき、ボルトを均等に締めながら取り外します。これらのボルト穴には、ふだんは栓ねじをしておきます。円すいころ軸受などの分離形軸受では、図11のようにハウジングの肩に数か所の切欠きを設けておき、当て金を用いてプレスで取り外すか、軽くたたいて取り外します。

図10 押出し用ねじによる外輪の取外し/図10 押出し用の切欠き

円筒穴軸受の取外し

内輪の取外しは、プレスによって引抜くことができれば最も簡単です。このとき、引抜力を内輪で受けるように注意します(図12)。

図12 プレスによる内輪の取外し/図13 引抜治具による内輪の取外し(1)/図14 引抜治具による内輪の取外し(2)

また、図13や図14のような引抜治具もよく使われます。いずれも引抜治具の爪が、内輪の側面に十分かかるようにしなければなりません。そのため、軸の肩の寸法を考慮したり、肩のところに引抜治具のための溝を加工するなどの工夫が望まれます(図14)。

大形の軸受の内輪取外しには、油圧法があります。軸に設けた油穴を通して油圧をかけ、引抜きを容易にする方法です。幅の広い軸受では、引抜治具を併用して取外作業を行います。

また、NU 形、NJ 形円筒ころ軸受の内輪の取外しには、誘導加熱法が利用できます。この方法は、短時間に局部的な加熱を行って内輪を膨張させ、引抜く方法です(図15)。これらの軸受の内輪を数多く取付ける必要のある場合にも、誘導加熱法が利用されています。

テーパ穴軸受の取外し

比較的小形のアダプタ付き軸受の取外しでは、図18のように、軸に締め付けたストッパーで内輪を支え、ナットを数回戻した後、当て金を使い、スリーブをハンマーでたたいて取り外します。図16は、取外しスリーブを引抜く作業で、ナットの締込みにより行います。作業が困難な場合は、図17のように、ナットに円周上数か所ボルト穴を設け、ボルトのねじ込みによりスリーブを引抜きます。

大形の軸受では、油圧を利用すると取外しは更に容易となります。図19は、テーパ軸に設けた油穴に加圧した油を送り、内輪を膨張させて、軸受を取外す方法です。作業中に、急に軸受が抜け出ることがあるので、ストッパーとしてナットなどを利用するとよいです。図20は、油圧ナットを利用したスリーブ引抜法です。

テーパ穴軸受の取外し
関連ページ