医療現場で搬送アシストロボットを実用化

  • 看護師、看護補助者がリモコン操作で自由自在にストレッチャー搬送
  • 医療現場の労働環境改善を目指す湘南鎌倉総合病院と、人に寄り添うロボット開発を進めるNSKの協業による成果
  • 神奈川県「新型コロナウイルス感染症対策ロボット実装事業」の支援をうけ、実証を積み重ねて実用化

医療法人徳洲会湘南鎌倉総合病院(所在:神奈川県鎌倉市、代表者:病院長 小林修三、以下:湘南鎌倉総合病院)と日本精工株式会社(本社:東京都品川区、代表者:取締役 代表執行役社長・CEO 市井 明俊、以下NSK)は、医療従事者の負担軽減を目的として、搬送アシストロボットを実用化しました。2024年3月から湘南鎌倉総合病院にて稼働しています。


今回実用化した搬送アシストロボットと湘南鎌倉総合病院 駒谷師長(写真左)、NSK事業企画本部 杉浦副主務(写真右)
今回実用化した搬送アシストロボットと湘南鎌倉総合病院 駒谷師長(写真左)、NSK事業企画本部 杉浦副主務(写真右)

同ロボットを取り付けたストレッチャー(湘南鎌倉総合病院で撮影。写真では看護補助者が左手でリモコン操作し、ストレッチャーを移動中)
同ロボットを取り付けたストレッチャー
(湘南鎌倉総合病院で撮影。写真では看護補助者が
左手でリモコン操作し、ストレッチャーを移動中)

背景

医療業界を取り巻く環境は、医師の働き方改革(2024年度)や、労働人口減少問題 (2030年)など、大きな転換点を迎えています。質の高い医療サービスを提供・維持し続けるためには、限られた医療リソースを効率的に活用することが不可欠です。医師の働き方改革に応じたタスクシフトにより、看護師や看護補助者の業務負荷が増大するため、その負担軽減の一助を担うべく、湘南鎌倉総合病院とNSKで同ロボットの開発を進めてまいりました。同ロボットは、神奈川県「令和3年度新型コロナウイルス感染症対策ロボット実装事業」を通じてロボットの試作品を開発し、神奈川県「令和4年度新型コロナウイルス感染症対策ロボット実装事業」を通じて現場で実証を重ね、この度実用化にいたりました。

ロボットの特長

今回実用化した搬送アシストロボットでは、リモコン操作により自由自在にストレッチャーの電動搬送を実現しており、病院内であれば、場所を選ばずどこでも利用可能です。手動と電動をシームレスに切替可能なNSK開発の電動キャスターを採用しており、リモコン操作をしていない時には、今まで通り手動でストレッチャーを動かすことができます。そのため既存の搬送ワークフローを変更することなく導入することが可能です。現在、現場で使用しているストレッチャーに取り付けることが可能*1であるため、ロボット導入時に発生するコストや負担が軽減できます。さらに、本ロボットは医療現場だけでなく、あらゆる搬送用途に使用可能です。

*1 ただしベッドメーカーに指定あり

関係者コメント

1) 湘南鎌倉総合病院

医療提供環境における直接的医療に関する技術・商品は日進月歩で発展していますが、一方、間接的医療の環境におけるDX 化は大きく遅れを取っている状況です。当院においても、2040年に向かえる生産労働人口と高齢者数が同一となる時代までに、医療提供における業務を合理化・効率化するための技術導入・DX 化を一歩でも進めておく必要があります。

この度のロボット導入を通じて、人手不足を補うため、またその他の課題解決のために院内業務の自動化やロボット等の新しい技術との共存がますます進むと思います。

今後も、医療業界に留まらず他業界の技術も取り入れることで医療環境の新しいあり方を検証するとともに、サービス利用者が分かりやすく、使いやすい、そして便利に使える技術を発信していきたいと考えています。

2) NSK

当社は1916年に日本で最初の軸受(ベアリング)を生産して以来、100年以上にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきました。現中期経営計画において100年培ってきた技術を生かし、新商品、新事業領域の拡大に取り組んでいます。

本搬送アシストロボットは、ストレッチャーの加減速時やあらゆる方向への移動を高度なモータ制御技術によってアシストし、負担軽減を実現します。本ロボットにより、医療従事者の疲労負担軽減という価値を提案します。

引き続きNSKは“人に寄り添う”ロボット技術を核に、社会に貢献できるようビジネス領域の拡大を目指します。

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