NSKメカトロニクス技術高度化財団、日本初・高等教育機関の教育に助成金を交付

~メカトロニクス技術発展の担い手育成を支援~

公益財団法人NSKメカトロニクス技術高度化財団(東京都品川区、理事長 朝香聖一 日本精工(株)名誉会長)は、3月18日(月)、研究助成と、今年度より新たに開始した、日本初となる高等専門学校(以下、高専)のメカトロニクス技術注1教育科目助成への助成金交付証交付式注2を行いました。
今年度の研究助成対象は計13件、金額にして2,590万円、教育助成対象は計6件、金額にして1,460万円となりました。また1988年の財団設立以来、研究助成として480件、金額にして累計約6億5,610万円を助成しており、その結果、技術交流助成と集会への助成を合計した累計助成額は7億400万円となっております。

  • 注1) メカトロニクス技術:機械の運動に関する技術と運動の電子制御に関する技術を一体化した技術。
  • 注2) 下記表に助成対象者、校を記載

1. 高等専門学校の教育助成にいたる経緯とその内容

50年前、中堅技術者の育成を目的として発足した高専は、5年制の一貫教育を活かし充実したカリキュラムを組むことより、実践的、創造的技術者を育成しております。近年グローバルに技術競争が厳しくなる中で、大学と比べても遜色のない技術者を社会に送り出している高専に対し、社会の期待はますます高まっております。
しかし、昨今の厳しい国家財政を背景に、文部科学省の運営交付金が毎年約1%減額するなど、高等教育機関の財政は年々逼迫しております。なかでも活動の主体を研究よりも教育に置く高専では、大学のように研究に必要な科研費注3などの外部の競争的資金注4を得てその間接経費注5を学校の運営経費に充てるようなことが難しく、充実した教育を行なえるだけの運営資金の確保が年々厳しさを増しつつあります。
このような背景を踏まえ、当財団は日本の国際競争力の源であるメカトロニクス技術の成長には、人材教育の強化が欠かせないとの観点から、2012年度より、日本で初めて高専対象の教育助成事業を開始しました。メカトロニクス技術分野の技術者、研究者の育成の強化に貢献することを目的とし、高専における座学、実験及び実習の連携教育や初級(1~3年生)、中級(4,5年生)、上級(専攻科)の学生への段階的な教育などを支援していきます。
本助成事業は、高専が校長の承認のもとに機関として申請するもので、ロボコンのような課外活動的なものではなく、あくまでシラバス注6にその内容が明記される授業科目を支援していきます。これにより、高専では多額の経費を必要とするメカトロニクス技術教育の教材開発、実験、実習器材の確保が可能となります。

注3) 科研費: 文部科学省所管の独立行政法人日本学術振興会 による科学研究費補助金。平成23年度予算2,633億円、平成24年度予算2,566億円(日本学術振興会資料「科研費の予算額の推移」)。
注4) 競争的資金: 広く研究開発課題等を募り、提案された課題の中から、専門家を含む複数の者による、科学的・技術的な観点を中心とした評価に基づいて実施すべき課題を採択し、研究者等に配分する研究開発資金(「平成15年4月競争的研究資金制度改革について」平成15年4月相互科学会議意見)。
注5) 間接経費: 科研費などの競争的資金を獲得した研究者の研究開発環境の改善や研究機関全体の機能向上に活用するため、研究機関に交付される経費(文部科学省資料)。
注6) シラバス: 授業・講義の摘要。学年あるいは学期中の授業・講義の計画や内容の概略を記したもの。

2. 今後の展開

来年度以降も当財団は積極的に助成事業を実施してまいります。特に今後は、メカトロニクス技術教育への助成の成果報告を全国の高専と共有していく等、メカトロニクス技術教育のより一層の向上を目指してまいります。

平成24年度(第3期)研究助成対象者・研究題目

3-1
野口 昭治:
東京理科大学理工学部機械工学科
セラミックス転動体を使用した玉軸受の総合的優位性評価に関する研究
教授  
3-2
高橋 英俊:
東京大学 IRT研究機構
MEMS2 軸力センサを用いた滑りの研究
特任研究員  
3-5
野田 善之:
山梨大学大学院医学工学総合研究部機電情報システム工学系(機械工学)
力覚提示機能を有する3自由度ジョイスティックを用いた操作型注湯ロボットの操作支援システムの開発
准教授  
3-10
祖山 均:
東北大学大学院工学研究科ナノメカニクス専攻
キャビテーションピーニングによる鋼ローラの疲れ寿命向上に関する研究
教授 【關 正憲】
3-15
永谷 圭司:
東北大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻
テザー付飛行ロボットと地表移動ロボットによる屋内被災地探査システムの実現
准教授  
3-16
劉 永田:
国立高雄第一科技大学工学部機械與自動化工程系(台湾)
低干渉運動を有する3 軸ファストツールサーバーの開発
教授  
3-21
西川 敦:
信州大学繊維学部機械ロボット学系バイオエンジニアリング課程
楕円型転がり接触関節を有する筋骨格ロボットフィンガー
教授  
3-22
天谷 賢児:
群馬大学大学院工学研究科機械システム工学専攻
静電オイルミストを応用した極微量潤滑油供給技術の確立とレーザー誘起蛍光法による油膜形成挙動の評価
教授  
3-31
大上 祐司:
香川大学工学部知能機械システム工学科
易焼成アルミナの常温固化現象を利用した微細表面形状製作によるしゅう動案内面の潤滑状態制御
教授  
3-38
寒川 雅之:
大阪大学大学院基礎工研究科システム創成専攻電子光科学領域
高品質非鉛圧電体薄膜を用 いたロボット用MEMS触覚センサの開発
助教 【奥山 雅則】
3-39
前 泰志:
大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻システム科学領域
ロボット遠隔操作のための認知フィードバック機能を備えたウェアラブルBMIの開発
准教授  
3-43
松田 健次:
九州工業大学大学院工学研究院機械知能工学系
二硫化モリブデンおよび二硫化ニオブスパッタ固体潤滑膜の大気中における潤滑特性向上とそのメカニズム解明
教授 【佐々木 巌】
3-56
宮川 豊美:
秋田工業高等専門学校機械工学科
遊星歯車機構を用いたロボット用柔軟アクチュエータの新機構
教授  

平成24年度 技術教育育成助成対象校

  • 弓削商船高等専門学校(愛媛県)
  • 東京工業高等専門学校(東京都)
  • 長野工業高等専門学校(長野県)
  • 大阪府立大学工業高等専門学校(大阪府)
  • 沼津工業高等専門学校(静岡県)
  • 釧路工業高等専門学校(北海道)

参考

A1. 当財団の略歴
公益財団法人NSKメカトロニクス技術高度化財団は昭和63年(1988年)4月に日本精工とそのグループ企業の出捐により財団法人メカトロニクス技術高度化財団として発足いたしました。
その後、公益法人改革により制定された公益法人3法により、旧財団法人から2010年11月1日に公益財団法人に認定され、名称を公益財団法人NSKメカトロニクス技術高度化財団と改称し移行いたしました。
A2. 当財団の設立目的とその事業
当財団の設立目的は、メカトロニクス技術の高度化に関する研究開発、技術交流への助成、講演会、研究会等の開催及び助成等を行なうことにより機械技術の高度化を図り、日本の産業の発展と国民生活の向上に寄与することです。
この目的に沿って発足当初から2012年まで当財団は助成事業として、機械技術の高度化に関して以下の3つの助成を行ってまいりました。
  • (1) メカトロニクス技術の高度化に関する研究開発への助成
  • (2) メカトロニクス技術の高度化に関する技術交流への助成
    (主に研究成果を海外の研究集会に発表するための渡航費の助成など)
  • (3) メカトロニクス技術の高度化に関する講演会、研究会等の開催及び助成

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