自動車用トランスミッション向け「油流制御機能付き一体型スラストニードル軸受」を開発

~ トランスミッションの小型・軽量化と信頼性の向上、生産性向上に貢献 ~

日本精工株式会社(本社:東京都品川区、代表者:取締役 代表執行役社長 大塚 紀男、以下NSK)は、主にオートマチックトランスミッション(以下AT)用として、「油流制御機能付き一体型スラストニードル軸受」を開発しました。本製品は、ATオイルが軸受内をより滑らかに貫通することを可能にし、ATの高効率化や信頼性の向上に貢献します。更には、本製品は、ころ・レース・保持器が一体化しており、AT内への組み付けが容易で、生産性向上に貢献します。NSKは、本製品の売上として2016年に10億円を目指します。

自動車用トランスミッション向け「油流制御機能付き一体型スラストニードル軸受

開発の背景

近年の環境意識の高まりから、クルマには更なる燃費改善が求められており、トランスミッションにおいても小型・軽量化や損失トルク低減など、高効率化のニーズが高くなっています。また、トランスミッション内には多数のスラストニードル軸受を組み付けるため、この工数削減のため軸受の構成部品(ころ・レース・保持器)を一体化するニーズも高まっています。これらのニーズに対して、本製品は以下の優れた特長によりATをはじめとしてハイブリッドやCVT等、トランスミッションの高効率化に貢献します。

技術の特長

レース&保持器の最適化設計による油流制御
軸受の外径レースをATオイルが軸受内部に流れ込み易いように設計し、保持器には油流向上のための孔を設けました。この結果、従来の1.5倍の油量が軸受を貫通することが可能になりました。これにより、ATユニット内部への油の供給バランスを最適化することで、オイルポンプの小型化に貢献します。
軸受内部すきま20%向上
新開発のパーシャルカールタイプレースは、軸受の構成部品(ころ・レース・保持器)を部分的に保持して一体化するため、内部すきまを向上させました。この結果、一体型スラストニードル軸受の課題であった偏心(軸ズレ)への耐久性を向上させることができました。

製品の効果

焼付き寿命の向上により稼動期間の延長やメンテナンス回数の低減が可能となり、生産性向上とランニングコストの低減に貢献します。

今後の予定

  1. トランスミッションの小型・軽量化と燃費改善への貢献
  2. 潤滑性の向上によるトランスミッション内部の部品耐久性の向上
  3. スラストニードル軸受の一体化によるトランスミッションへの組み付け性の改善
レース形状(分離防止保持部)
保持器形状
貫通油量比較測定結果

プレスリリース記載の情報は報道発表日時点の情報です。
予告なしに変更され、ご覧になった時点と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。