特殊環境用ダイレクトドライブモータを開発

NSKは、真空中や薬品雰囲気などの特殊な環境下で回転位置決めを可能にした「特殊環境用ダイレクトドライブモータ」を開発しました。

特殊環境用ダイレクトドライブモータ

【開発の背景】

半導体等の高集積化、パターンの微細化に伴い、プロセス製造装置に使用される軸受には、高真空や腐食性ガス下に耐えられる性能への要求が高まっています。さらに高清浄度への要求も高まっており、軸受の塵埃の発生やアウトガスの発生を極力抑えることが必要となってきています。NSKはこのような真空中あるいは腐食性ガス雰囲気中やクリーンな環境に対応できる軸受として「スペーシア™シリーズ」を提供してきました。

一方、高精度の回転位置決めや、搬送用途のアクチュエータとして、NSKは高分解能位置検出器を内蔵したダイレクトドライブモータ「メガトルクモータ」を供給しており、半導体製造装置やDVDのスパッタリング装置、ハンドリング装置等に使用されてきました。

従来、このような特殊環境中での回転位置決め機構には、異環境間を通した回転伝達シャフト部をシールした「磁性流体シール」あるいは、異環境間で隔壁を介して回転を伝達する「磁気カップリング」等の伝達機構が利用されていましたが、伝達機構とモータとの構成を必要とし構造が大型化する、伝達機構の性能により精密な位置決めが困難である等の課題がありました。

今回、NSKが開発した「特殊環境用ダイレクトドライブモータ」は、特殊環境中(真空中または、腐食性ガス雰囲気中)でも発塵や放出ガスの少ない軸受とダイレクトドライブモータを組み合せ、ロータの位置検出を行うことにより高精度な回転位置決めができるような独自の構成を組み込みユニット化した製品です。

【特殊環境用ダイレクトドライブモータの特長】

このモータは、通常雰囲気中にモータ固定子と回転位置検出器を配置し、これに対し特殊環境中(真空中または、腐食性ガス雰囲気中)で回転するロータ部分を薄い隔壁を介して配置することにより伝達機構などを用いずに直接動力伝達・位置決めを行う、世界初の構造となっております。

その特長は、以下の通りです。

  1. 特殊環境中のロータを位置検出して、高精度の位置決めが可能。
  2. 異環境間の角度伝達機構が不要となるため、モータが小型で構造が簡素化されるとともに、高速かつ高精度な位置決めを実現。
  3. アウトガスの要因となるモータの固定子や電気配線等が特殊環境中に露出しない構成。
  4. 特殊環境用軸受の採用により、発塵や放出ガスが少ない。

今回開発した製品は、一つの筐体の中に同軸で2軸のモータがユニット化され、それぞれが独立に回転・高精度位置決めが可能であり、2軸の同期運転も可能な構成を取っています。2軸の構成での寸法は、外径270mm、高さ100mmで、各々、最大トルク12Nm、回転位置検出器分解能200万パルス以上/回転で、最高速度1.0回転/秒の性能を有します。

NSKでは、当面、真空中の回転位置決め用途に提供していきますが、基本的な構造を変えることなく、外形寸法の変更や多軸化が図れることから、クリーン環境下の回転位置決めや真空・クリーンロボット用のアクチュエータとして商品化を展開していく予定であり、2007年には、10億円規模の売上を見込んでいます。

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