連鋳ガイドロール用長寿命軸受を開発

連鋳ガイドロール用長寿命軸受

NSKは、連続鋳造設備ガイドロール用として、従来に比べ2倍以上の寿命が得られる長寿命軸受「SWR™(Super Wear Resistance)軸受」の開発に成功し、販売を開始します。

【開発の背景】

連続鋳造設備は鋼材製造の初期工程で、溶鋼をロールの間を通して表面から順次凝固させながら鋳込む設備です。1ラインで五百個から千個程度の軸受が使用されており、その使用条件は、重荷重、極低速回転(毎分数回転)という条件に加え、水や粉塵の混入する潤滑環境で、軸受にとっては、もっとも厳しい使用個所といえます。

この設備用としては、いくつかの形式の軸受が使用されていますが、自動調心ころ軸受と呼ばれる軸受がもっとも多く使用されています。しかし、このように過酷な条件のため、この軸受形式特有の差動すべり現象により、外輪軌道面に偏摩耗が生じ、そこを起点にクラックや剥離損傷に発展し、さらに剥離損傷から外輪割れを起こし操業を停止させる突発事故に至る場合もあります。この突発事故が発生すると、その補修には多大な時間と費用を要するため、各製鉄所では、軸受の点検や交換といったメンテナンス周期を思うように延長出来ないでいます。

近年、このような突発事故の防止と、メンテナンスコスト削減という観点から、連続鋳造設備用として長寿命軸受の開発が強く求められていました。(なお連鋳機のメインテナンスコストは年数億円、そのうち軸受起因のメンテナンスコストは3割以上とも言われており、軸受の長寿命化の効果は非常に大きいと考えられます)

【SWR軸受の特長】

  1. 特殊合金元素(バナジウム)を添加するとともに、NSKが長年培ってきた浸炭窒化技術を駆使することで、世界で初めて非常に微細で高硬度なバナジウム炭窒化物を多量に析出させることに成功しました。 そして更に、この技術にNSK独自の長寿命化技術(TF化技術)を組み合わせることにより、優れた耐摩耗特性と剥離寿命特性が得られ、長寿命化を達成しました。
  2. 表面硬化型材料にすることで、完全硬化型である従来鋼と比較して心部靭性を飛躍的に向上させ、突発事故につながる外輪割損の防止を図っています。
  3. SWR 軸受の部品構成としては、損傷を起こす外輪のみに今回の開発鋼を採用し、それ以外の部品には敢えて従来材を採用しました。これは、NSKが行ってきた、転がり軸受材料の摩耗に及ぼす水の影響についての研究で、水潤滑下での耐摩耗性には材料の組み合わせ効果が非常に大きいという研究結果を基にしており、連鋳機のような水混入潤滑下での摩耗を抑制しています。

【実機における評価】

今回の「SWR 軸受」開発にあたっては、社内ベンチテストでの良好な結果が得られたことから、いくつかの製鉄所のご協力を得て、連鋳ラインにおいて実機評価を行ってきました。その結果、使用される部位によっても異なりますが、従来軸受より2倍から3倍以上の寿命延長効果が得られました。

今後も引き続きフィールドデータを積むことによって、剥離寿命、究極破壊寿命に対する「SWR 軸受」の優れた特性で、メンテナンス周期延長、生産の効率化に寄与できるものと考えます。

世界には約5,500基の連鋳ラインが稼働しており、軸受年間総需要は80億円程度と推定されますが、「SWR軸受」は、その優れた特性を以って、5年後には現在の10億円から40億円への売上増を期待しています。

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