生産技術開発

カーボンニュートラル対応で
挑み甲斐がますます膨らむ
熱処理の最前線

生産技術センター 成形技術開発部
熱処理グループ グループマネジャー

熱処理技術を極めようと
専門セクションを持つNSKに

前職の自動車部品製造メーカーでも、熱処理工程の生産技術職として働いていました。新たな熱処理工程の採用や生産増強を図るために、設備の導入なども任されましたが、基本は量産上の課題が持ち上がったときに対応するような生産現場の技術支援的なポジションで、熱処理技術そのものの開発については、現場対応の合間を縫って実施するしかありませんでした。徐々に抜本的な問題解決に挑む純粋な技術開発に注力したいと考えるようになり、熱処理技術専属の部門を持ったNSKへの転職にチャレンジしました。

もちろん、同じ業界で働いていたので、NSKの技術力の高さや業界内の評価の高さは知っていました。あの精度や強度のスペックを、どのような熱処理で実現しているのだろう…そんな興味があったのです。新たに学べることも多いに違いないと考えた私は、自分を成長させるステージへの転職を決断しました。

また、NSKが独立系企業であることも選社理由の一つでした。事業戦略に伴う技術開発の方向性は、自らが選択していくことになります。会社の競争力に直結するといっても過言ではない技術開発部門の責任はとても重いものですが、それに伴って得られるやりがいも大きいと感じています。

インタビュー写真01

熱処理工程における技術力が軸受の品質を決定する

NSKに転職後は、成形技術開発部の熱処理グループに配属され、念願だった軸受製品の熱処理に関する技術開発職に就くことができました。鋼は成形した後に高温に加熱し、焼入れを行うことで強度が増し、機械部品として使用できる特性を得ることができます。しかし、単純に加熱するだけでは、鋼の変態によってミクロン単位で設定されている公差に収まりません。加熱前の成形時に熱による変形を考慮した補正を行うことも重要ですが、加熱対象となる製品ごとに時間や温度の最適値を極めることが、品質の向上に直結するのです。

そのために普段から熱処理に関する理論のリサーチや実験を行います。仮説を立て、実験で検証し、データを取りながら、一歩一歩進めていきます。一つの課題に対して、タネを蒔いて実るまでには数年はかかります。最終的に工場に新たな熱処理技術を導入するというゴールにたどり着き、現場からの「目標の精度が出たよ!」「操業を進化させる技術だ!」といった声が聞かれたときは、この上ない喜びを感じます。

熱変換効率の高い高周波焼入れで
カーボンニュートラル実現に立ち向かう

近年、熱処理の技術開発を担う私たちが新たに追いかけることになったテーマが、カーボンニュートラルの実現です。現在の焼入れ方法は、加熱炉内部の空気をバーナーで熱して発生する輻射熱を利用するものであり、膨大なエネルギーを要しています。会社としてもカーボンニュートラルの実現には様々な領域で取り組んでおり、中でも軸受の熱処理技術の進化には大きな成果が見込まれています。

私たちは、鋼材をコイルの中に入れ、高周波電流をコイルに流し、電磁誘導現象を利用して鋼材を加熱する、高周波熱処理技術を用いて、エネルギー削減に取り組んでいます。高周波加熱工法は、空気を温め、間接加熱する既存工法より、熱効率が高く、省エネルギーに大きく貢献できる技術です。既に実用化されている技術ではありますが、NSKがラインナップする多種多様の軸受形状、サイズ、材質に対応させていくには、最適な加熱プロセスの開発やオペレータの使いやすい設備の構築など克服すべき課題が山積みです。この技術を自分たちのものにして、すべての焼入れ工程に導入することにより、NSKが消費するエネルギーは大幅に減少できるはずです。

インタビュー写真02

誰かのために立ち向かう仕事だから
SDGsの意義をリアルに感じる

最近になってSDGsをはじめとする環境活動が盛んになってきています。地球環境に貢献しようとする意識は身近なところから持つべきで、そうした方がSDGsの必要性をリアルに感じられるのではないでしょうか。私の子どもが成長し、人生を終える頃になっても、人が住みやすい地球であってほしいという想いで、カーボンニュートラル実現に取り組んでいます。加えて、高周波焼入れの設備は周囲まで熱くなることがないため、オペレータを暑さから解放し、労働環境の改善につながります。

このように、NSKに転職して携わることになった目の前の仕事や役割を果たしていくこと自体が、誰かの喜びにつながっていると感じることができ、仕事の大きなモチベーションになっています。私は、NSKへの転職希望者の技術的なバックグラウンドはどのような領域であってもかまわないと思います。NSKには熱処理に関する教育プログラムを十分に用意しています。誰かのために、仕事をしたい。そういうマインドを持った人とこそ、一緒に仕事をしたいですね。

Message

NSKは様々な産業向けに多角化された事業を展開しています。そのため、各分野での研究や開発から担当分野以外の知見を得られ、自身が取組む開発の参考にすることができます。また、課題が生じたときは事業間の垣根を超えて知見を共有し、"ALL NSK"で解決に取り組む風土があると感じます。こうした技術の多様性がある環境だからこそ、新たな製品やサービスが生まれるものだと、私は考えます。現在の専門分野を土台にしつつ、他分野の技術を取り込んで機械技術のエキスパートを目指したい方、ぜひ一緒にNSKで働きましょう。

※組織、役職名称は取材時のものです。

インタビュー写真03