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精機製品・技術レポート:NSKリニアガイドの運動精度

リニアガイドを組み込んだ機械装置において、その運動精度を支配する要因は、リニアガイド単体の運動精度と、直線移動テーブル体としての運動精度の二つである。その2点について述べ、最適な精度等級を採用するための参考に供したい。

1. リニアガイド単体の運動精度

リニアガイド単体の運動精度としてNSKでは、“走り平行度”という規定を設けている。“走り平行度”とは、レールに組み合わされたベアリングを、レール長手方向に移動させたときに生じる、レール基準面に対するベアリング基準平面の変動をいう。走り平行度の測定位置は、図1のH及びW2の方向であり、規格値は、リニアガイドの精度等級とレールの長さとにより、表1による。

2. テーブル体としての運動精度

図2に、半径Rの中凹形状である機台上に取り付けられたリニアガイドを示す。通常、リニアガイドはレール2本とベアリング4個で構成され、この構成のとき、テーブル中央点の移動軌跡は、図2に示す半径rの円弧を描く。Rとrとの差によって、機台の真直度に比べテーブル体の運動精度は良くなることがわかる。これは、“平均化効果”といわれ、通常、ベアリング4個支持の場合、取付面精度の1/3に誤差が縮少される。
例1に示す条件の場合、取付台の精度許容値D1"は、25μmでよいことがわかる。
この平均化効果を踏まえて、リニアガイド単体の走り平行度について、最適な精度等級を採用することが重要である。

図2:テーブル体の運動精度