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精機製品・技術レポート:NSKリニアガイドの騒音

職場環境の改善、機械保全の見地から、機械振動・騒音の低減がますます必要になっている。逆に機械の運用面からは、高速化が進み機械振動・騒音は増加する状況にある。したがって、リニアガイドにおいても高速領域での騒音の低減が必須の条件となってきている。NSKでは、駆動・案内要素及びモジュールメーカとして種々の試験を行なっているので、その中から、リニアガイドの騒音に関して参考となるデータを紹介する。

  • 1) 騒音と移動速度
    図1に示すように、リニアガイドの騒音レベルは、その移動速度に伴って変化し、その傾きは8~9dB/Oct、すなわち速度が2倍になると、騒音レベルはおよそ8~9dB大きくなる。
  • 2) 騒音と潤滑剤
    図1はまた、潤滑剤によってリニアガイドの移動速度に対する騒音レベルが違うことも示している。油潤滑とグリース潤滑では騒音の差はあまりないが、無潤滑では10dB以上の差がみられる。他の駆動系からの騒音が加わると、この差が不明りょうとなるが、音圧をチェックすることで、潤滑剤の補給を自動化できる可能性があることを示している。
  • 3) 温度変化と騒音
    図2に示すように、無潤滑においては温度変化に伴う騒音の変化はほとんどないが、グリース潤滑では温度上昇に比例して騒音が高くなっている。これは、温度変化に伴いグリースの粘性抵抗の変化が生じ、騒音が変化するものと推定される。このことは、騒音の測定に温度条件を考慮する必要のあることや、リニアガイドを使用する機械の使用条件に応じたグリースの選定が必要であることを示している。
図1:潤滑剤によって異なる移動速度と騒音レベル&図2:温度変化と騒音レベル