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精機製品・技術レポート:寿命計算における係数

荷重係数

ボールねじの寿命を計算する際に用いる荷重は、振動荷重や衝撃荷重の程度によって理論的に求めた荷重を補正して考える必要がある。 この補正係数を荷重係数と称する。 従って実際にかかる荷重として寿命計算の時に用いる荷重(Fa)は理論的に求めた荷重(Fe)に荷重係数fwを乗じて求める。

Fa = Fefw

荷重係数(fw)の値
荷重の程度 fw
衝撃のない円滑運転の時 1 ~ 1.2
普通運転の時 1.2 ~ 1.5
衝撃振動を伴う運転の時 1.5 ~ 3.0

定格荷重

ボールねじが回転している時は基本定格荷重や寿命を考えるが、静止時や10rpm以下の低速回転の時には静定格荷重を考えなければならない。 静定格荷重は転走面と剛球との接触面における永久変形量が転動体直径の0.0001であるような静荷重である。 静定格荷重は静荷重や衝撃荷重が大きいときにも考慮しなければならない。
普通に回転しているボールねじでは静定格荷重に対する安全係数は1以上をとる。

安全係数(fs)の値
荷重 fs
普通荷重の場合 1 ~ 2
衝撃荷重の場合 2 ~ 3

かたさ係数

ボールねじは普通焼入れされたものは、その転走面のかたさはHRC58~62であるが、荷重の小さい回転速度の遅い使用条件には焼入れされないものも使用される。転走面のかたさがHRC58以下であるとそのかたさに応じて基本定格荷重、静定格荷重が低下する。この補正係数をかたさ係数と言う。すなわち転走面のかたさがHRC58以下の時の基本定格荷重(Ca')、静定格荷重(C0a')はかたさ係数 fH' を乗じて求める。

Ca' = fHCa

C0a' = fH' ・ C0a

ただし、CaC0a は転走面かたさがHRC58~62の場合の基本定格荷重、静定格荷重

図:硬さ係数