メインビジュアル

NSKリニアガイド 互換仕様

特長

多数の加工機や搬送機を並べたラインと呼ばれる製造設備が必要とされる産業においては、その製造設備が一部でも停止することにより、多大な損害をこうむるため、常に快適に動いていることと、万が一停止しても早い復旧ができることが要求されます。そのためメーカは多量の予備品(故障したとき取替えできるように、使用品と同仕様のもの)のストックを持たざるを得ない状況にあります。

このような要求に対して、NSKリニアガイドは、互換品(レールとベアリングのランダムマッチング可能)を準備して、短納期の納入と予備品の共通化で、予備品のストックの削減を実現しています。

1. 標準在庫で短納期の互換性シリーズ

NSKリニアガイドのNH、NS、PE、PU、LW、TSシリーズには、レールとベアリングの個別売りが可能な互換性品を用意しています。

標準在庫品ですので、短納期を実現します。

詳細はこちらへ(カタログ[PDF]ダウンロード)

上下方向高負荷容量形 NHシリーズ (KB)

上下方向高負荷容量形 NSシリーズ (KB)

ミニアチュア形 PEシリーズ (KB)

ミニアチュア形 PUシリーズ (KB)

上下方向負高荷容量形 LWシリーズ (KB)

2. ボール転動溝位置の測定が容易

設計のねらいが製品に正しく生かされるためには、ボール転動溝精度及び溝間隔位置精度が正確に測定できる事が求められます。そのためには、ゴシックアーク溝とすることが有利な条件となります。正確に測定することによって、加工精度が保証され、優れた機能特性(運動精度、摩擦、剛性、寿命など)が発揮され同時に、互換性を実現することができます。

図1に溝位置測定の概念を示します。ゴシックアーク溝の簡便さ、高精度が容易に理解できます。

リニアガイド溝位置の測定

3. 安定した機能特性

NSKリニアガイドの機能特性は、実験、理論の両面から確認、裏付けされています。ここでは、LHシリーズについての実験結果の数例を紹介します。

図3:Hモジュール構造

(1) 摩擦と剛性

図2は、LH35ANについて動摩擦力と上下方向剛性の測定データを整理して、両者の関係を示したものです。実測値は理論計算値とよく一致しており、設計のねらいが生かされていることが分かります。

(2) 基本静定格荷重と耐衝撃性

図3は、LH45AN及びゴシックアーク溝をもたない相当型番のガイドに、アムスラー試験機でベアリング上面から静荷重を加え、そのとき発生した圧こん深さを測定した結果を示したものです。

また、そのうちLH45ANの基本静定格荷重に相当する荷重約11900daN {12100kgf}を加えたときのデータを図4に示します。

図3, 4よりゴシックアーク溝に特有の効果が明らかに認められます。なお、実験は静荷重によるものですが、衝撃荷重が作用した場合でも同様の効果が得られることが容易に推測できます。

荷重と圧こん深さ 図4:静定格荷重負荷時の圧こん状況

(3) 耐久性

定格疲れ寿命計算値の2倍(6400km)までの走行耐久試験を行った結果の一例を紹介します。

試験 呼び番号LH35EL
すきま ゼロ
走行ストローク 400mm
送り速度 24m/min
外部荷重 9700N{990kgf}
(上方向)
潤滑 グリース(AV2)

この結果を図5に示しますが、計算寿命の2倍を走行させた後でも剛性、動摩擦力とも殆ど変化は見られず、フレーキングの発生や摩耗による劣化なども特に認められません。

図5:耐久試験後の状況